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    野田佳介

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    野田佳介

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    6
    どこまで続くか分かりませんが推定20とさせて頂きます
    良ければお付き合いください。

    garbageには、別の思惑があった。
    「戦争を止める」というのは、あくまで建前だ。
    本当の目的はもっと単純で、もっと個人的なものだった。
    ヒトツメが、人間界で天使に襲われることのないようにする。
    それだけだった。
    人間界で天使と悪魔が共存できるなら、それが一番いい。
    無意味な争いを続けるより、共に生きる道を探したほうが賢いに決まっている。
    ——だが、そんな理想が簡単に叶うとは思っていない。
    だから、戦争を止める。
    それができれば、ヒトツメは天使に狙われずに済む。
    ただ、それがどうすれば実現するのか——garbageには分からなかった。
    出任せだった。
    ただの願望に過ぎなかった。

    garbageとヒトツメは、ゴミ箱に身を隠していた。
    人間界に溶け込むには、それが一番都合が良かった。
    しかし、悪魔であるヒトツメにとって、人間を襲わないという選択肢はなかった。
    生きるために喰らわねばならない。
    ならば、どうするか?答えはシンプルだった。
    garbageが人間を襲いヒトツメがその場にいた人々の記憶を消す。
    騒ぎが起こることもなく、彼らの生活は続いていく。
    garbageは人間ではない。
    だから、人間のルールも倫理観も、彼には関係がなかった。
    罪悪感? そんなものはほとんどない。
    ただ、必要だからやるだけだ。
    ヒトツメのために。
    肉はヒトツメが喰らい、奪った金品はgarbageが所持していた。
    戦争を止めるなんて、大それたことを言いながら、
    garbageがやっていることは結局、ただの犯罪者と変わらなかった。
    けれど、それでいい。
    garbageはもともと、何かに囚われる存在ではない。
    彼にとって重要なのは、“目的”が達成されることだけだ。
    ヒトツメが生き残るためなら、人間を何人襲おうと構わない。
    そのために、どれほど嘘をつこうと構わない。
    戦争を止める。
    そのためなら、どんな手を使っても。
    無機物である彼は、ただひたすらに自分の目的を遂行する。
    その冷徹さこそが、彼の”意志”だった。


    garbageは、黙ってヒトツメが人間を喰らう様子を見ていた。
    咀嚼音、骨の砕ける音、臓腑を啜る音。
    それらを聞きながら、ふと考えた。
    自分は何かを食べることができるのだろうか?
    garbageには、口と呼べる部位がない。
    ヒトツメに聞いてみたが、「知らねえな」と首を傾げられた。
    当然だ。
    garbageは、生物ではない。
    本来の自動人形には電源や電池があるが、彼にはそんなものはない。
    それどころか、彼の体の仕組み自体が誰にも、本人すら分かっていなかった。
    garbageは、世界にたった1人しか存在しない生きた無機物なのだ。
    声帯がないのに喋れるのも謎。
    目があるのに視界がどのように処理されているのかも分からない。
    彼の体について、“分かること”より”分からないこと”の方が圧倒的に多かった。

    ならば、試してみるしかない。
    garbageは、ヒトツメが喰らった人間の欠片を手に取り、
    人間ならば口があるはずの場所に近づけると
    欠片は吸い込まれるようにして消えた。
    garbageの顔が、もぐもぐとわずかに動く。
    どうやら、“食べる”ことはできるらしい。
    だが、食べたものはどこへ行くのだろうか?
    体内には消化器官などないはずだ。
    しばらく考えた後、garbageは眉を顰めると、
    喉を詰まらせるような仕草をして、吐き出した。

    「……まずい」

    小さくぼやきながら、口のあたりを拭う。
    どうやら、吐き出すこともできるらしい。
    食べることも、吐き出すこともできる。
    しかし、それが何のために備わっているのか——それは、誰にも分からなかった。


    お前、何なら食えるんだ?」

    garbageが人間を食べられないと分かった後、ヒトツメは少し考え込んだ。
    生憎、自分は人間しか食べないが、人間界の食べ物ならどうだろうか?
    とりあえず、片っ端から試してみるしかない、と
    ヒトツメの提案で、人間界の食べ物を色々と試してみることになった。
    パン、米、肉、野菜——どうやら、それらは普通に食べられるらしい。
    原理は謎だが、garbageには”味覚”があるらしい。
    しかも、それは人間に近いようで、
    美味いものは美味い、まずいものはまずいと感じることができた。
    そして、たまたま入った店で注文した——オムライス。
    一口食べた瞬間、garbageの顔つきが変わった。

    「……」

    驚いたように目を丸くし、
    もう一口、また一口と食べ進める。

    「こんな美味しい食べ物があるのか……!」

    普段は無機質な表情のgarbageが、ニコニコと笑いながら目の前の料理を食べていた。
    どうやら、相当気に入ったようだった。
    …持て余していた所持金の使い道が決まったようだった。
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