終わりの庭 ディノが祖母からの報せを受けたのは、長袖でも肌寒い朝のことだった。陽の光は柔らかく、すぐそこに春の気配を感じるものの、緑の芽吹きはまだ、予感のみに留まっている。
「そんなの、気にしなくていいのに」
『そうよ、だから連絡したの。あなたも忙しいのは知っているけれど、黙っているよりはと思って』
祖母の声は窓から差し込む陽光のように明るい。それほど深刻ではなさそうな様子に安堵して、ディノが答える。
「うん、一度みんなに相談してみるよ」
挨拶もそこそこに通話を切って、ディノはウエストセクター研修チーム、その生活圏であるリビングを振り返った。チームメイトは三人。うちルーキー二人は、早く行け、という指差しのジェスチャーが息ぴったりに揃っている。そしてディノと共にルーキーを受け持つ同期の友人は、「そういうことだから」と言って、ディノと同じように、他の誰かとの通話を切ったところであるようだった。
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