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    pie_no_m

    @pie_no_m

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    pie_no_m

    DONEフェイスのバースデーのお話
    ※エリチャン・コメントバレを含みます。
    たとえば明日のホットショコラが、未来永劫の愛になるように「あー、だから、もう好きにしろって」
     頭痛が治まらないというような、何とも嫌そうな顔で、キースは投げやりな台詞を吐いた。ディノはそんな同僚に憤慨して、必要事項を入力中であったオンラインショップの受付画面から目を離す。
    「そんな適当なこと言うなよ、フェイスの誕生日なんだぞ」
    「それを考えた上での、オレたちの金色はねえわって意見に耳を貸さなかったのはお前だろ」
     キースの指摘に、ソファの後ろ、カウンター側に背を向けて丸椅子に座っているジュニアが「そうだ、そうだ」と加勢してきた。
     ウエストセクター研修チームの午後のミーティングは、ルーキーを一人欠いた状態で開かれている。議題はフェイスの誕生日について。サプライズの企画に、対象者を参加させるわけにはいかない。密会とも言えるそれはフェイスの留守を狙ってのことなので、三人の時間はそう長く取れない。迅速かつ円滑に進めたいところではあるが、構図は一対一対一になりつつあった。金箔でコーティングされたフェイスの等身大チョコレートに賛成派のディノ、もう好きにしろ派のキース、いやなんで金色にする必要があるんだよ派のジュニアだ。
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    pie_no_m

    DONE🐺🍕×🐈‍⬛🎧で👿🍣と💀🍺も出てくる。
    やりたい放題のファンタジーパロです。何でも許せる方向け。
    ラ リュミエール 息をひそめ、自らの気配を殺す。
     カーテンは閉め切り、電気を消していても、フェイスの目には部屋の中の様子がよく見えた。窓から射し込むランタンの灯りは、リビングの床に二人分の影を伸ばしては縮めていく。尖りきって壁にまで届きそうな三角の影は全部で四つ。フェイスの猫のようにぴんと立てた耳と、隣で膝を抱え背を丸めるディノの、フェイスのものより大きくてふさふさの毛が目立つ耳。そのシルエットがひくひくと落ち着きなく動くのを、フェイスは身動きもせずただじっと見つめていた。
     十月三十一日。外から子供たちの興奮した話し声や高い笑い声が聞こえる。きっと彼らは魔物や悪霊の姿を模して、通りの玄関の扉を順番に叩いては大人に菓子を要求している最中だろう。それではなぜ、そんな通りに面した部屋に住む自分たちはこうして身を隠すような真似をしているのか。フェイスはともかく、ディノは普段から街の人間と仲が良い。喜んで道行く子供たち皆に菓子を配りそうなものだが――明白な理由である三角形の影が、フェイスの見る前でまた一回ひくりと動いた。
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    pie_no_m

    DONEエレメントから好きですが初めて書きました。
    不自然な点がありましたら申し訳ございません。
    Romancing Cruise、なにごと……?
    熱の余剰 微かな揺れと波の音に、ふと目を覚ます。
     目蓋を開いてすぐ目に入ったのは、ぼんやりした常夜灯だけが灯る照明器具だった。首を回しても見渡し切れない広すぎる部屋を眺め、一瞬の混乱ののちに記憶が蘇り、夏目はひとり納得するように再び目を閉じた。
     遭難、宗にいさん、豪華客船。
     南の島の慣れない暑さに、不覚にも体調を崩してしまったこと、客船に同乗させてもらい、水分を補給しつつの転寝をしていたことまでは思い出せる。いつの間にか本格的に眠り込んでしまっていたのか。現在の時刻が知りたいと、夏目はサイドテーブルに置いたはずの携帯端末を手を伸ばして探った。が、見つからない。ミネラルウォーターのボトルを掻き分けても同じことだった。どうせあの、余計なことばかりするお節介で暑苦しい眼鏡の仕業だろう。仕事の連絡がひっきりなしに入っては夏目の睡眠の妨げになるので遠ざけたとか、バッテリーの残量を気にして電源に繋いであるとか、つむぎの思考と行動に大方の予想を付けつつ、夏目はまだ重い身体を起こした。こめかみに走る鈍痛は、深く眠ったぶん昼間よりも酷くなっている気さえする。身体の火照りも落ち着いたようには思えない。夏目はほとんど無意識に自らの頬に触れた。
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    pie_no_m

    DONE※名前有りのモブ娘が登場します
    ※捏造表現過多
    愛されたがりの愛し方「護衛?」
     フェイスのおうむ返しに、キースが頷く。ウエストセクターの研修チーム四名、その日常生活の中心であるリビングルームには、食欲をそそるトマトとガーリックの香りが漂っていた。時刻は午後七時十分前。ちょうど夕飯時である。首肯の後に「あいつら、遅ぇな」とまだ帰宅していないチームメイトたちへの文句を挟ませてから、キースは話を続けた。
    「ブラ……お前のオヤジさんの伝手というか何というか、オレにはそこまで詳しいことはわかんねぇけど……とにかく、大使の娘さん直々のご指名だと」
     キースが不明だと言う「詳しいこと」の大半は、彼が聞き流したか忘れたかのどちらか、またはその両方であろうことがフェイスには容易に想像できた。夕食の準備がほぼ整ったカウンターテーブルの前でキースから聞いた話を要約すると、さる国の大使の娘が、数日に渡りニューミリオンに滞在予定である。その間の護衛を、警察ではなく【HELIOS】の『ヒーロー』に頼みたい――それも、ベテランであるメジャーヒーローではなく、入所したばかりのルーキー、フェイス・ビームスを名指しで希望している――らしい。
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