2.眠れない夜うまく眠れなくて頬杖ついてただただ風信さんの寝顔をぼんやり見つめていた慕情ちゃん
寝返りをうった風信さんがあちらを向いてしまうのが寂しくて裾を引いてしまう
風信さんがもぞもぞ始めるから起こしたんじゃないかと焦るけど
最終的に仰向けになった風信さんの健やかな寝顔を見おろして
そのあまりにも無防備な表情に思わず「……ふん」って笑う ぱちっと目をひらいた風信さんとばっちり目があって慌てて逸らすけどひょいと伸ばされた手に頬をつつまれて「寝れないのか」って掠れた声で聞かれてぎゅってなる 「……起こして悪かった」と返せば「来い」て胸元を叩いて呼ぶ風信さん
観念してその胸元に飛びこむようにして額を寄せる慕情ちゃんの髪を手ですきながらふにゃっと笑う風信さんにまたぎゅっとなるから誤魔化すように「私は放ってお前は寝ろ」って手を離そうとする 風信さんは離すつもりがないのでそのまま背中に腕をまわして慕情ちゃんを抱きしめるから
さらに胸が苦しくなって抵抗するけど離してもらえずに「……どうしてそこまで私に拘る」と問えば「お前のことが好きだから。悪いか?」と率直な言葉に今度は熱くなる 「勝手にしろ」と目を閉じた慕情ちゃんを見て微笑む風信さん 慕情ちゃんの寝息がきこえるまでずっと起きて背中をさすってるけど
そんな風信さんもいつのまにかまた眠ってしまう
朝ぱちっと目がさめた瞬間に慕情ちゃんの整った寝顔が視界に入ってどきりとする風信さんを見透かしたように「……やっと起きたか」と微笑するので やられたと笑う風信さん
「……ありがとう」と小さすぎる声でこぼれた慕情ちゃんの精一杯の言葉を拾って愛おしいその身体を抱きしめて肩に額をうずめる風信さん 「……二度寝する気だな」と茶化したように笑う慕情ちゃんも満更でもない
風信さんの髪から漂う香りが自分と同じであることをあらためて自覚してその幸福感に包まれながら二度寝する慕情ちゃん すぐに寝てしまった風信さんの寝言が………
完