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    akizuki41

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    akizuki41

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    ただngisがいちゃついてるだけ。(数ヶ月遅れのクリスマス)
    以降の展開が迷走してしまったので、供養。
    いつか続き書けたらいいなぁ…

    【供養】ngisいちゃいちゃパート「凪!これめっちゃ美味い!」

     きらきらと暖色の煌めく中に、太陽のような笑顔が輝く。凪は幸せを噛み締めながらチップスを口に放った。
     世間はクリスマス。凪は恋人である潔世一と共に、イングランド最大のクリスマスマーケットを訪れていた。
     クリスマスマーケットの有名な国に暮らしているはずの潔は、目に入る全てのものに目を輝かせ、時折凪の袖を引っ張って、店の方へと誘導する。その様が小動物みたいで、凪は毎度、抱きしめたい衝動に駆られていた。以前、街中で抱きしめたら、すごい勢いで引き剥がされたので、必死で抑える。

    「凪!今度はあれ食べたい!」

     子供のように無邪気にはしゃぐ恋人に凪は、幸せを全身で感じながらついていくのだった。

    ◇◇◇

    「なぁぎ。メリークリスマス」
    「うん。潔、メリークリスマス」

     ちん、と涼やかなガラスの音が鳴る。
     一通りマーケットを堪能した二人は、凪の家で買い込んだ食材を調理し、食卓についていた。外ではしんしんと雪が降り積もっている。

    「ん〜〜〜!これ美味い!凪って料理も天才なのな!」
    「いや、普通でしょ」
    「普通じゃないんだって!」

     やっぱすげーな、とけらけら笑う潔に、凪は内心胸を撫で下ろしていた。

    –––潔、かわいいなぁ…

     まろい頬に目一杯食事を詰め込み、幸せそうにもきゅもきゅと咀嚼する潔に、凪は手を伸ばした。

    「ん?ふぁぎ?」
    「お弁当付いてる」

     頬についたソースを指で拭い取って、ぺろりと舐める。

    「ん、おいし」
    「な、なぎ…」

     潔がポカリと口を開けて、わなわなと震え始める。その頬には、段々と朱が差していく。

    「ん?潔、熱?」
    「お前のせいだよ!」

     潔は手に持っていたカトラリーを皿の上に置き、手で顔を覆った。

    「こんなん、イケメンにしか許されない所業だろ…ずるいだろ…」
    「何が?」
    「無自覚なのもずるいぃ…」
    「だから、何が?」
    「もおぉぉぉ!」

     そう叫んで潔は、身振り手振りを付けて熱弁を振るい始めた。凪は顔がいいんだから軽率な行動はするな、だとか、行動までイケメンとかずるい、だとか、なんだかんだと喚いていたが、凪はいまいち内容を理解できていなかった。

    ━━真っ赤で慌ててる潔可愛いな。あ、ちょっと汗ばんでる。エロ。

     一人でわあわあと騒ぐ潔の横へ、椅子ごと回る。潔は真っ赤な顔のまま警戒したように凪を睨みつけた。

    「な、なんだよ…んむぅっ?!」
    「ん」

     凪は潔の顎を上向かせ、うるうると輝く唇に口付けた。最初は驚いてジタバタしていた潔の体から徐々に力が抜けていき、ついには甘い吐息を漏らしながら、凪の背へと腕を回した。
     凪は潔の後頭部を大きな手でがっちりと鷲掴み、その蕩けた口腔を深く深く貪った。

    「ん…ふぅ…なぎ…」
    「潔…」

     一度口を離すと、二人の間に銀糸が引いた。弧を描き、ぷつりと途切れるのを見て、凪は、もったいない、と反射的に思ってしまった。もう一度口付けようと潔の方を向くと、潤んだ目で凪を見上げる愛しい人の顔があった。

    「はぁ…なぎ…ベッド行く…?」

     蒸気した頬と、体に力が入っていないのか上目遣いで見つめられ、凪はぴしりと体を硬直させた。

    –––だれだよ、潔をこんなにしたの。

     俺か。

     凪はうん、と頷いて、へなりと力の抜けている潔を抱え上げた。潔が、凪?!と驚いたように凪の顔を見つめる。
     凪は手から伝わる潔の体温を堪能しながら、手だけでなく全身で体温を分け合うべく、寝室の扉を開けた。

    ◇◇◇


    「凪、わざわざ空港まで見送りありがとう」
    「いーえ」

     ひっきりなしにアナウンスが流れる。今度はここも行ってみたいよなーなんて、聞こえてくる地名を挙げる潔に、凪は運んできた潔のキャリーケースを渡した。
     潔が、凪も変わったよなーと笑う。

    「変わった?」
    「そ。昔の凪だったら面倒臭いーとか言って玲王にまかせそうじゃん」
    「えー。俺、潔のためだったらやるよ」
    「うそだ」

     くすくすと笑う潔に、嘘じゃないのに、と思う。

    –––潔のためだったら、俺、なんでもしたのに。

     恋人の自分への信頼の低さに少しむっとする。

    –––結局俺ばかり好きなんだ。

     思い返せば二人が付き合い始めたのも凪のアタックからだった。各方面から引っ張りだこだった潔に、凪は、猛アタックをした。

     サッカーにしか興味のない潔の視界に入るために、今まで経験したことのない必死さでサッカーに取り組んだ。
     潔の視界に仲間入りした後は、熾烈な潔の隣争奪戦を勝ち抜き、常に潔の近くにいるようにした。
     潔の行動をよく見て、潔が欲しいものをすぐに渡すようにした。
     潔に恋愛経験がないと知ってからは、潔の反応を伺いペースを調整しながら、徐々に口説いた。

     結果、数多の男たちを蹴散らし、凪は潔の恋人と相なったのだった。

     凪は過去の自分の苦労を思い出し、背筋が冷えるのを感じた。

     しかし、恋人の座を手に入れたからと言って、安心できた訳ではなかった。
     潔はモテる。
     ブルーロックでは必然的に男からの求愛が多かったが、プロとして出獄してからは老若男女にモテた。
     実際今も、通り過ぎる人々が、イサギだー、サインほしい、などと話しているのが聞こえる。当の本人はそんなこと露ほども知らず、凪モテるなーなどと笑っている。

     次会えるのは試合の時かな、とスマホでスケジュールを確認しながら潔が言う。どう周りの奴らに牽制しようという思考に潜っていた凪は、うん、と生返事をした。

    「凪ー?大丈夫か?俺そろそろ行くけど」
    「あ、うん…」

     凪ははっと我に返り、潔を見た。少し低い位置でぱちくりと瞬く瞳が愛おしい。
     潔が時計を確認して、荷物を手に取る。

    「凪、見送りありがとうな!助かった!」
    「うん」
    「じゃあな!」

     そう言って潔はくるりと踵を返した。真っ直ぐに手荷物検査の入口へと向かっていく背中が、ネオ・エゴイストリーグでの瞬間に、ふと重なった。
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