どうやって一人で生きてきたのか疑問に思うことが、ままあった。働きもしないクセして出所不明の黒いカードと駅近高級タワマンのワンフロア持ち。衣食住に困らないのは差し置いても、生活力は皆無と称して良い程に見当たらない。カップラーメンも作れないし、レンチンも出来ない。音楽に没頭するとベッドで寝る事すら忘れる。嘘だろって思うような生態がそこには存在していた。
何処を切り取っても無機質な部屋に、ある時ふと、檻のイメージを重ねたが、飼い主の姿を見た事は未だかつてない。ならばコイツは、捨てられた獅子なんだろうか。道化のメインステージに無理矢理立たされた後はもう用済みになってしまったのだろうか。
いつ死んでもおかしくない男。
威圧感のあるデカい見た目に儚さを感じる要素は欠片もないのに、そんな印象が拭えず、幼少から家畜に囲まれ生き物を愛してきた自分が気に掛けてしまうのも必然だ。特別な感情には程遠いが、こう、たまに世話をしておかないと気付いた時には亡くなっていそうな雰囲気というか。惰性から死を選んでもおかしくない奴に感じたというか。そういう自分が生き汚いだけなんだろうかと、価値観まで疑ってしまう。不本意ながらツインギターと作詞作曲のタッグを組んで、上手くはないがそこそこに長くやっていると思っているのだが、他人の事は相変わらず解らないモンである。