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    bhrnp

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    🪽 熱が続けば今書いてる話の次の次辺りに仕上がるんじゃないかな…という…

     次元の旅人たちは、持たざる者が多い国に於いての振る舞い方を考えていた。

     ビルが立ち並び有刺鉄線が張り巡らされたこの国には、特異資質者管理機関(Agency for the Regulation of Kindred)、通称ARK(アーク)と呼ばれる、所謂「能力者の管理・保護・育成」を目的とした国家機関が存在する。
     能力者というのは、別次元でいう所の「魔術師」「魔法使い」を指している。この国にとってそういった力を有する者は大層特殊な存在で、一般人とは隔離する政策を敷いているようだ。
     この国での普通は「何の力も持たない者」であり、普通ではない人間──特に、能力覚醒直後の子どもが力を暴走させて市民生活を脅かしたり、力に引きずられて心を壊してしまう事を防ぐ為に設けられた国際機関がARKなのだという。
     小狼達が秘密裏に調べを進めた所、どうやら大人が突然に力を授かる事例はないらしい事が判明した。加えて、特殊な力を感知する文明の利器は流通しておらず、能力に目覚めた子どもを持つ親がARKへ申告するか、子どもを手放したくない親は能力者である事を隠して生きる事もあるのだという。
     但し、有能力者の存在を隠蔽するのは重罪に当たり、性質の悪い場合は親族諸共死罪、そうでなくとも身柄を収監され、その身を一生国の為に使う事を余儀なくされる。

    「密告によって捕らえられた人間も多く居ると聞く。魔力を持つ者なら相手がそうかどうかを嗅ぎ分けられるから」
    「けど、その『分かる』事を曝け出すの自体が、この国では命懸けだよねぇ」
    「大抵の奴等は見て見ぬ振りで生きてんだろ」
    「まあそういう事で。オレ達はどうする、って話」
    「旅人であっても申告義務があるのかどうか、だろうな」

     小狼とファイは間違いなくこの国の基準では『能力者』に値する。黒鋼も刀を取り出す魔術をファイが部分的に授けているので、そこだけ注目されたら能力を持つと言われる可能性がある。モコナに至っては最早この世の基準には外れた生命体だ。幸か不幸か機械文明が発展しており、喋るだけなら人工知能を備えたぬいぐるみで押し通せない事はなさそうだが、黒き片割れと通信をする姿や異次元から物を取り出している姿を目撃されたら完全アウトである。
     とはいえ全員が全員、機関に身を預けるのは危険な側面もあるという調べも付いている。
    「一度入所が決まったら出て来れないとか、面会すら出来ないって人も居たねー。怖いねー」
    「能力が消えた大人は機関から解放されるが、記憶を失っていて中の様子を説明出来ない……というのも気になる。魔力なら年を重ねれば強くなるのがおれ達の辿ってきた世界では一般的だ。力と同時に記憶が消えるという事象もあまり例はない」
    「……回りくどい。俺は魔術の事は分からん。お前らの見解をさっさと聞かせろ」
    「うーん。ほぼ間違いなく子ども達の魔力を搾取されてるパターンだろうねぇ、これは」
     核心に触れるのを避けてきた二人だったが、痺れを切らした黒鋼が促した事により、ファイはあっさりと人非人な機関のやり口を露わにする。
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