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    syuka_0w0

    @syuka_0w0

    4月~新参。新快(広義)が好き(*´ `*)

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    2024.5.3べったーより
    快斗君が1人でお買い物する話。シモ注意。

    【新快/小話】決戦は土曜日「ん~~~……???」

    黒羽快斗は、大手総合ディスカウントストアの、とある商品棚の前で大きく首を捻っていた。

    床に置かれた買い物カゴには、植物由来の便秘薬、専用ローションにマッサージ用医療器具、そのものズバリな張形からピンクのオモチャまで、エトセトラエトセトラ。

    お尻でそういうコトをします!と堂々宣言するラインナップだが、多種多様な商品が所狭しと並ぶ店内、パワー陳列のおかげもあり、カゴの中身やしゃがみ込む快斗の姿を訝しむ者はそこには一人も居なかった。





    快斗が、件の白装束を脱いで早5ヶ月。
    同時期にめでたく元の姿を取り戻した東の名探偵・工藤新一と素顔で邂逅し、紆余曲折を経て、お付き合いをすることとなってから、凡そひと月。

    恋人の誕生日を明日に控え、所謂ハジメテに臨む為、快斗は自身の生まれ月より一足早く、成人指定の暖簾を潜ることになった。

    「アソートセット…お徳用×3…情熱価格……」

    必要な物を調べる内、最初はそのままネットで購入しようかとも思ったが、体に入れる物であり万が一があっても困ると、話し合いの結果、店頭で揃える運びとなった。

    互いの最寄り駅から3つ以上隣…少なくとも知り合いは住んでいない街を選び、2人で事前に購入リストを作成。

    新一も直前まで付いて行くと言いきかなかったが、マジックが得意なだけの極々一般人の快斗とは異なり、超有名人の両親を持ち、自身もメディア露出している身だ。
    男と2人、アダルトグッズをわんさか買い込むだなんてネットニュースまっしぐらな事はやめてくれ、と快斗が必死に止めた。

    タイミング良く一課からの要請が掛かってくれなければ、今頃どうやっていたことやら。

    今朝の玄関ドア前でのすったもんだを思い返し、緩みかける口元を抑え、快斗は再び目の前の商品に目を向ける。

    新一と事前に決めていた商品の大半は、目視で最終確認のみを済ませ、既にカゴに放り込んでいた。

    先程から快斗を悩ませていたのは、大体のサイズやクチコミしか調べてこなかった避妊具(ゴム)である。

    作成した購入リスト中、とりわけ普段立ち寄るコンビニやドラッグストアでも見かける商品だった為、その場で選んで問題ないだろうという油断が裏目に出た。
    大、小、これでもかと並ぶ箱の数々は、快斗にとって全くの予想外だったのだ。

    とは言え、ここまで来て最後の最後で妥協する訳にも行かず、ひとまず一つ一つ手に取り確認することにした。
    一応レビューは一通り頭に入っており、一瞥し棚に戻したり、候補として残留させたりとを繰り返していく。

    一見するとお菓子の様に可愛らしいパッケージも、商品特徴を示す3桁の数字と4文字のひらがなとの淫靡さが絶妙なアンバランスを醸し出していた。

    「つぶつぶ…いぼいぼ……香り付き……」

    先程までは思考の余地なく商品をカゴに突っ込んでいたが、ここに来て無駄に記憶力が良く、回転の早い脳みそが、ひとりでにシミュレーションを繰り広げてしまい、どんどん顔に熱が溜まっていく。

    「うー…」

    まだほんの触れ合う程度のキスしかしていない2人だが、そこは現役男子高校生。
    性に多感な時期であり、どちらも人並み以上の好奇心の持ち主である。ハウツーから、ちょっぴり踏み込んだアレコレそれまでばっちり履修済だ。

    自身と親以外には触れさせた事のない排泄口がいよいよ気になり始め、快斗はぶるりと身を震わせた。

    オススメ!!と蛍光ペンで大きく縁取られたPOPがついた商品を乱雑に手に取ると、無造作にカゴに入れ立ち上がる。

    「…クチコミ悪くねーし、別に腐る訳でもないし…単にコスパ考えただけで……」

    誰に聞かせるでも無く、ぶつぶつと言い訳しながら暖簾を出る。
    ちらりと目線を下ろした先には、お徳用3パックの文字。
    恋人の誕生日×互いに一人暮らし×大型連休=という方程式が導く回答に、更に熱が上がった気がして、快斗はマスクを引上げ、帽子を目深に被り直した。





    ポーカーフェイスでレジを通過し、手早く空っぽの鞄に商品を移し替え店を出る。
    数刻ぶりに感じる日差しに、快斗は思わず目を瞬かせる。
    キャップの下から伺えば、入店時に比べ大分太陽の位置が高くなっていた。

    「どんだけ吟味してたの俺…もう此処の店絶対来れねーじゃん…」

    ピンク暖簾の先は、果たして異空間だったのかもしれない。
    パンツのポケットに突っ込んだままにしていたスマホを取り出し、使い慣れたアプリを起動すれば、早々に事件を解決に導き、コンビニ弁当を買って帰宅した事を知らせるメッセージが届いていた。

    「次からは絶対通販にしよ…」

    そう独りごち頭を切り替えると、敬礼する鳩のスタンプで返事を済ませ、夜の香りがする商品でパンパンになったデイバックを背負い直して、足早に恋人の家へと向かった。
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