竜の力を継ぐ子 幕間「もー! なーんーでー!」
隣から聞こえる元気な声に一騎は苦笑する。召喚されてから操はずっとこの調子だ。無理もない。己を召喚した主が自分の顔を見た途端逃げるように走り去り、自室に閉じこもってしまったのだから。
「俺式神だよ!? 神様だよ!? 顔見て逃げるってなんなの!?」
「神々しすぎたのかもなぁ」
「慰める気あるならもっと心込めてくれる?」
操はその愛らしい顔に隠すことなく不機嫌を滲ませる。このままでは甲洋の部屋の襖を吹き飛ばしかねないのではないかと危惧し始めたとき、今まさに心配した襖が開いた。一瞬立ち上がりかけた操だったが、中から出てきた相手を見てつまらなさそうに座り込む。
「なんだ、総士か」
「………」
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