再廻 ずっと、深い青の底で眠りについていた。否、正確には少し違う。意識はあった。それはきっと、新たな存在としての己を受け入れてから、絶え間なく。
———声が、聞こえた。痛みに悶える声が。争いを嘆く声が。喪いたくないと、必死に叫ぶ声が。
幾多の想いが微睡むだけだった意識に形を与えた。記憶からかつての器を形成し、今にも消えようとしていた灯(あかり)を両手で抱きとめる。それをすぐ近くにいた幼馴染みに託して、光が差し込む方へとのぼっていく。
そうして数年ぶりに青の世界から飛び出した甲洋は、島を守るべく戦場へと降り立った。
***
帰投したブルクは沈痛な空気に満ちていた。流れ込んでくる激情に、未だにかつてと同じようには機能しない心でさえ鈍い痛みを覚えた。
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