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    minato18_

    一時的な格納庫

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    minato18_

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    甲操/一総
    主従パロ。ほんのり和風テイスト

    幕間

    ##甲操
    ##一総
    ##竜の力を継ぐ子

    竜の力を継ぐ子 幕間「もー! なーんーでー!」
     隣から聞こえる元気な声に一騎は苦笑する。召喚されてから操はずっとこの調子だ。無理もない。己を召喚した主が自分の顔を見た途端逃げるように走り去り、自室に閉じこもってしまったのだから。
    「俺式神だよ!? 神様だよ!? 顔見て逃げるってなんなの!?」
    「神々しすぎたのかもなぁ」
    「慰める気あるならもっと心込めてくれる?」
     操はその愛らしい顔に隠すことなく不機嫌を滲ませる。このままでは甲洋の部屋の襖を吹き飛ばしかねないのではないかと危惧し始めたとき、今まさに心配した襖が開いた。一瞬立ち上がりかけた操だったが、中から出てきた相手を見てつまらなさそうに座り込む。
    「なんだ、総士か」
    「………」
    「そっ、総士、甲洋の様子は?」
     元々鋭い瞳を剣呑に細めた総士を見て慌てて声を掛ける。甲洋が儀式を終わらせずに放棄したことで、神官たちは表にこそ出さないがかなりぴりぴりとしている。これ以上騒ぎを起こすわけにはいかない。それは総士も承知しているのだろう、ため息をひとつ零しただけで操の態度については流してくれた。
    「だめだな。来主とは契約を結ばないの一点張りだ」
    「……そうか」
     召喚の儀が終わったからと言って直ぐに契約が成立するわけではない。主が己の名を告げ、式神の名を呼んではじめて二人の間に縁という繋がりが出来る。
     縁を結んだ主と式神は感覚を共有する。一騎と総士程の関係になれば互いの左目を通し視界すら共有することが可能だ。そうして二人で分かち合って初めて、竜の力を制御することが叶う。故に、縁を結ぶことは敵勢力と戦う上でも大事になってくるのだが。
    「納得できないっ! せめて理由を説明してよっ!」
     襖の奥に居る主に向かって叫ぶ操を見て、さしもの総士も同情の念を抱いたのだろう。華奢な肩に手を置き、彼にしては優しい声音で声を掛ける。
    「説明ならば僕がしてやる。場所を移そう」
    「ここじゃだめなの?」
    「人の目があるからな」
     当主の部屋だからと人払いはしてあるが、結界を張っていない以上誰の目や耳があるか分からない。そのようなところで話せる程、甲洋が抱える事情は軽くはないのだ。
    「わかった」
     頷いた操はもう一度だけ襖の先に目をやり、歩き出した総士に続く。それを見送り、一騎は襖の奥へと言葉を投げ掛ける。
    「来主のこと預かるからな、甲洋」
     返事は期待していなかったのだが、部屋の中から消え入りそうな声で「頼む」と聞こえてきて、胸の奥をきゅっと握られるような感覚を覚えた。
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