司レオ【執着、或いは】 天界には、天使たちが暮らす集合住宅と呼べるようなものがある。別の土地に自らの家を持つ天使もいたけれど、大体はこの集合住宅で暮らすことを選択する。かくいう自分も他の場所に住まう理由もなかったので、他の天使たちと同じ選択をしていた。
「住み心地も悪くないですしね」
天使の中でも、天界や他の世界の守護を担当している天使たちがいる。そういった天使たちにしてみれば、何か問題があった際にすぐに動くことができるこの場所は都合がいい。まさにその守護を任されている一人である司は、自分に与えられた部屋に満足していた。
基本的には平和であるのがこの天界のいいところだと言える。天界に住まう者はみな、善人である。そもそも清らかな心の持ち主しか天界に住まうことは許されないのだ。それなのに、罪を犯す者が現れるわけがない。
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