1122の日 ルクにょぼver前触れもなく突然現れ、自室の如く勝手に寛いでいく。傍若無人の極みを地で行く少年が少女の元に現れたのは、もはや恒例となっていた。何も持たない若しくは菓子などの土産を持って現れるのだが、今回の少年はどちらにも当てはまらなかった。
大事なものだと言わんばかりに大事に持つそれはーーーー。
「わぁ……!綺麗な花!」
鉢植えの花だった。興味を持った少女はソファから腰を上げ、少年の元へと駆け足で向かう。お気に入りの膝掛けや読みかけの本が床に落ちてしまったのだが、彼女の耳に入らない。少年……ルックは子供のようにはしゃぐ少女に、思わず呆れを含んだ笑みを零してしまった。
「ちなみにだけど、名前は知ってる?」
物欲しそうに見つめる少女に渡す際、花の名をさりげなく問いかける。思わぬ言葉に目を見開き首を傾げるといった仕草を見せた。それが意味するものは。
1803