Recent Search

    フォ……

    だいたい⭐🎈落書き用保管庫。
    皆さんのスタンプに助けられています……ありがとうございます…………!

    @prsk_ruirui ⇒ツイッター

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 29

    フォ……

    TRAINING類の野菜嫌いについて

    お題「フハハハハ!それはぷにぷに」
    15分トレーニング 16

    1197文字(所要時間約3分)
    「その場所は行けないね。僕には食べられないものばかりだ」

     吐き捨てるような類の言葉であった。司と類は、これまで大きな喧嘩もせずにこれまでやってきた。けれど、今日でそんな穏やかな平穏は終わりなのかもしれない。司にそう思わせてしまうほど、彼の勢いは思いの外強かった。

    「……いや、すまん。お前の野菜嫌いがそこまでだとは思わなくてな」
    「いいや、僕こそ済まないね。でも、少し違うんだよ。僕が野菜を嫌いなのではなくて、僕の体が野菜を嫌っているんだよ」
    「同じことだろうが!」

     思わずその言い訳に苦言が出てしまう。けれど、何に対しても向かえば強情な類のことである。彼のその気持は司がどれだけ言ったとしても、覆る事はない。司は、手に持っていた一つのパンフレットをしまい込みながら、頑なな態度を取り続ける彼の方へ向き直る。

    「……しかし、不思議なものだな。そこまで全て、嫌いだって言うのもな」
    「確かにそうだねぇ。まぁ、僕には理由はわからないけれど。詳しくは僕の体に聞いておくれよ」
    「まだその設定続けるのか?」

     司にも、好き嫌いがあるのでその気持ちは少しだけよく分かる。彼の嫌いな人参の、あの独特 1242

    フォ……

    TRAINING寧々から見た司と類

    お題「オチは躍動」
    15分トレーニング 11

    1056文字(所要時間約2分)
    右足を高く上げてからのターン。
     くるりと世界が反転し、観客の笑顔からは身をひそめるように暗い奥へと進む。

    『お前、そちらに行ってしまうのか?』

     大声で背中に叫ばれて、後ろ髪を引かれるような気持ちになった。
     よく通る、司の声だ。
     類は何も返さない。
     このまま、何の感情もなく彼の元を去るだけだ。
     コツコツと、わざとうるさい足音を立てれば観客は息を呑む。
     その空気感を肌で感じながらも、類は舞台袖に下がっていく。

     ワンダーランズ×ショウタイムの春公演。
     出会いと別れをテーマにした今回は、主人公たる司から、類は彼に別れを告げる役を請け負う事にした。
     物語の終盤、起承転結で言えば『転』に当たる場面で、身勝手に進んで行こうとする主人公を見限る場面だった。よくよくある王道の青春物語。最後のシーンではもちろん類の役は司の元へと帰っていくのだが、ことこのシーンに至っては、いつだって胸を蝕まれるような辛さを感じてしまうのだ。

    「あの場面、類、気合入ってるんじゃない?」

     ショー公演の後、そう類に告げてきたのは寧々だった。
     二人、隣の家同士という関係性、俄然共に帰ることが多かっ 1113

    フォ……

    TRAINING類から見た天馬司とは

    お題「今日のゲストは悲劇」
    15分トレーニング 8

    989文字(所要時間約2分)
    「悲劇って、あまり思いつかないんだよね」
    「たしかにな」

     学校も終わり、バイト場所であるフェニックスワンダーランドへと向かう道すがら。
     類はふと、そんな言葉を落とした。

    「まぁ、僕達のショーには、悲劇は似合わない気もするけれどね」
    「……うむ。だが、たまにはいいのかもしれないな」

     フェニックスワンダーランドのショー、ひいてはワンダーランズ×ショウタイムの目的は来ている人々を笑顔にする事だった。特に、あのにぎやかな会場の成り立ちと作りから言うと、来ている観客は家族連れが多いため、俄然喜劇を多く作るような形になっているのだった。

     そもそも、悲劇の成り立ちは憤る現在に向けてのアンチテーゼの意味合いもある。
     今を生きて楽しんでいる人々に、それをどうやって伝えていくのかと考えてもみると、難しい。けれど、それを考えてこその演出家でもあるのかもしれない、と思うと俄然盛り上がってくる気持ちもあった。

    「ふふ、」
    「どうした、類。楽しそうだな」
    「そうだねぇ……悲劇、ねぇ。調べてみなければいけない事が増えてしまったね」
    「うむ。お前の好きにするといい」

     相変わらず、全てを肯定して 1026

    フォ……

    TRAINING休演日の舞台での会話

    お題「苦しみの男の子」
    15分トレーニング 7

    1483文字(所要時間約3分)
    くぐもったような声がした。
     類はその声の主、司の方を振り返る。

    「司くん、風邪でもひいたんじゃないのかい?」

     そして珍しいね、と付け加えながら彼にペットボトルの水を手渡してやる。

    「もしかしたら、乾燥しているのかもしれないね。もう冬も近いし」

     司は、類の渡した水をごくごくと飲み干している。
     よっぽど、喉が乾いていたようだ。
     風邪をひいている(かもしれない)のもそうだが、彼がこんなふうに水分補給を怠るのも珍しい。彼はいつでも自分を『スター』だと言うその代わりに、過剰な程に体調を気にかけているのだから。

    「……そうだな」

     五百ミリリットルの水を三分の一程度飲み干して、彼はぼんやりとそう返してきた。
     その目線は、舞台から見た客席の方をただ見ている。
     今日は、ワンダーランズ×ショウタイムの休演日。明日から行われる新しい演目の、最終チェックとも言える通し稽古を終えたタイミングなのだった。

    「司くん?」

     しっかりと決まった練習を終え、軽い倦怠感と達成感に包まれていた。
     全ての片付けと明日からの準備を終わらせて、あとは休息のために帰宅するだけだった。
     寧々とえむ 1544

    フォ……

    TRAINING類、一人だけの夜。

    お題「恐ろしい夜」
    15分トレーニング 6

    1119文字(所要時間約2分)
    類の眠りは浅い。
     そのせいで、よく夢を見た。

     ある時はワンダーランズ×ショウタイムでショーをしていたり、またある時はいつもどおりに学校へ向かっている所の夢であったりもする。
     夢。
     しかし、意外と現実主義な類はそれと同じように夢の中でもひどく現実的な夢を見ることばかりで、ああ今日はこの場所か、昨日はそれよりも遠い場所に行っていたのになぁ、程度の感覚しかなかったのだった。

    「……っ、」

     だから今日、夢の中でさえ真っ暗闇の中に放り出されて何もできない夢を見て、類は飛び起きた。
     目が覚めるとそこはあまりにも見慣れた自室の机の上で、つい先程まで企画していた新しい機械の残骸がそこら中に転がっている。
     何も変わらない、現実。
     時刻は真夜中の三時で、少しばかり空が白み始めている頃のようだった。

     ただ眠っていただけなのに、随分息が上がっていた。
     昨日まで着続けていた服のまま寝ていたせいで、びっちゃりとかいていた汗がより一層気持ち悪くて仕方がない。
     思わずそのシャツを脱ぎ捨てる。
     ふいに、上半身を晒した形になって、急激に心細くなってくる。

     夢の中。あの真っ暗闇は一体何だ 1162

    フォ……

    TRAINING本日の司は稽古を休む。

    お題「戦争とギャグ」
    15分トレーニング 2

    787文字(所要時間約1分)
    「今日は良いプリンを買っていかなければならないからな!」

     と、天馬司は高らかに言い放つ。
     高校の終礼後、急に類の教室へ来たかと思ったら、彼は今日の舞台練習を休むと宣言し、ついでにそんな理由を告げてきたのだった。

    「プリン?」

     いつものようにのんびりと帰り支度をしてた類は、あっけに取られたまま彼の大げさな身振りを見つめながらそう返す。
     彼は少しばかり切羽詰まっている。
     まぁ、彼が練習を休むという時の理由は一つしかなかったので、だいたいの予測はついているのだが。

    「そうだ、プリンだ! 済まないが、今日の進行は類に頼んだぞ」
    「わかったよ。任せて。……ただ、」
    「ただ?」
    「今日からシブヤデパートでは、世界プリン博覧会があるそうだよ。そこになら、彼女が満足できるプリンがあるんじゃないかな?」

     類が一つのアイディアを与えてやると、司は「そうか!」と素直に聞き直り、挨拶もなしに部屋を駆け出していく。
     類はそんな彼の後ろ姿を見つめている。

     昨日、彼と連絡を取っていてよかった。
     次の舞台のアイディア出しをしながら電話をしているその最中、彼は血糖値を欲して『甘いものが食べ 818