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    類から見た天馬司とは

    お題「今日のゲストは悲劇」
    15分トレーニング 8

    989文字(所要時間約2分)

    ##司と類

    「悲劇って、あまり思いつかないんだよね」
    「たしかにな」

     学校も終わり、バイト場所であるフェニックスワンダーランドへと向かう道すがら。
     類はふと、そんな言葉を落とした。

    「まぁ、僕達のショーには、悲劇は似合わない気もするけれどね」
    「……うむ。だが、たまにはいいのかもしれないな」

     フェニックスワンダーランドのショー、ひいてはワンダーランズ×ショウタイムの目的は来ている人々を笑顔にする事だった。特に、あのにぎやかな会場の成り立ちと作りから言うと、来ている観客は家族連れが多いため、俄然喜劇を多く作るような形になっているのだった。

     そもそも、悲劇の成り立ちは憤る現在に向けてのアンチテーゼの意味合いもある。
     今を生きて楽しんでいる人々に、それをどうやって伝えていくのかと考えてもみると、難しい。けれど、それを考えてこその演出家でもあるのかもしれない、と思うと俄然盛り上がってくる気持ちもあった。

    「ふふ、」
    「どうした、類。楽しそうだな」
    「そうだねぇ……悲劇、ねぇ。調べてみなければいけない事が増えてしまったね」
    「うむ。お前の好きにするといい」

     相変わらず、全てを肯定してくれる司に「ありがとう」と告げる。
     喜劇、悲劇、どの表現であったとしても壊れないのはワンダーランズ×ショウタイムの強みでもあるのだ。そして、それを支えているのはこの座長、天馬司の柔軟さにあるのかもしれないなと思う。
     天馬司。
     彼は初めこそ凝り固まった『スター』の世界に閉じこもってもいたが、こと最近は仲間たち全員の意見を全面的に取り入れようとしてくれる、いい座長へと成長してくれている。

     いつだって自由気ままな類にはとうてい及ばない(というかやろうとは思わないのだが)、彼らを取り仕切られるというのは、それこそが才能なのではないかと思う時がある。
     敵わない。
     彼には、そういう不思議な力がある。

    「司くん、ありがとう」
    「どうした? 何度もそんな事を言って。……まさか、また何か企んでいるのか!?」
    「ふふふ、まぁ……そうだねぇ。悲劇、だからねぇ」
    「それはどういう事だ!?」

     揺さぶると、彼は類の真意には気づかなかったようで、顔を青くして妙に落ち着きなくこちらの様子を伺っている。
     そう、そういう所が彼の魅力であるような気もしている。

     司くん、悲劇でも喜劇でも、君は僕のスターなんだよ。
     類は心の内だけで、彼にそう告げた。
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