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    類、一人だけの夜。

    お題「恐ろしい夜」
    15分トレーニング 6

    1119文字(所要時間約2分)

    ##司と類

    類の眠りは浅い。
     そのせいで、よく夢を見た。

     ある時はワンダーランズ×ショウタイムでショーをしていたり、またある時はいつもどおりに学校へ向かっている所の夢であったりもする。
     夢。
     しかし、意外と現実主義な類はそれと同じように夢の中でもひどく現実的な夢を見ることばかりで、ああ今日はこの場所か、昨日はそれよりも遠い場所に行っていたのになぁ、程度の感覚しかなかったのだった。

    「……っ、」

     だから今日、夢の中でさえ真っ暗闇の中に放り出されて何もできない夢を見て、類は飛び起きた。
     目が覚めるとそこはあまりにも見慣れた自室の机の上で、つい先程まで企画していた新しい機械の残骸がそこら中に転がっている。
     何も変わらない、現実。
     時刻は真夜中の三時で、少しばかり空が白み始めている頃のようだった。

     ただ眠っていただけなのに、随分息が上がっていた。
     昨日まで着続けていた服のまま寝ていたせいで、びっちゃりとかいていた汗がより一層気持ち悪くて仕方がない。
     思わずそのシャツを脱ぎ捨てる。
     ふいに、上半身を晒した形になって、急激に心細くなってくる。

     夢の中。あの真っ暗闇は一体何だったのか。
     後で冷静に考えて見たももの、その時、特に深夜とあらば思考が回らなくなるのも人間の性である。類は思いがけない夢を見たせいで、ひどく動揺してしまった。

    「ーーあ、」

     ふと、その近くを見やると彼の携帯電話が床に放り投げられていた。
     そういえば、類が値落ちしてしまうまでの間、通話をスピーカーホンにしたまま司と長々と話していたのだった。
     携帯を拾い上げ、その液晶画面を映し出す。

     待受にしていたフェニックスランドの写真が一瞬写ったかと思うと、そのすぐ後に彼から来ていたトーク画面のコメントが目に入る。

    『類、寝てしまったのか?』

     その言葉に後に、彼からの返信はない。
     類がこうして寝落ちするのはよくあることだった。だから、それを察して彼ももう寝てしまったのだろう。
     何だか、あっけらかんとした彼のコメントに腹が立ってくる。
     僕はこんなにも、夜遅くに、ひとりで怖い思いをしたのに。

     それにそもそも類が電話しながら寝落ちするのは相手が司の時ばかりで、彼の声を聞いてしまうとどうしても、ひどく心が落ち着いて、何となく眠くなってきてしまうのだ。
     画面を見、何も考えずに言葉を送る。

    『司くん、君のせいだよ』

     もちろん既読はつくはずはない。
     彼だって、こんな夜中なのだから眠ってしまっているのだろう。
     けれど、そんな彼にひねくれた恨み節を送ってしまったら何となく気持ちが晴れやかになって、類はそのまま適当に敷かれた毛布を手にとって、それに包まりながら再び眠りにつくことができたのだった。
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    TRAINING司の作るカリカリベーコン

    お題「嘘の夜風」
    15分トレーニング 20

    1372文字(所要時間約3分)
    妙に気だるい朝だった。目を開き、辺りを見渡すが照準が合わない。もぞもぞと動いてみるが、肩と腰が妙にぎくしゃくと軋んでいる。
     類は、元より低血圧である。だから起きがけの気分は大抵最悪なのではあるが、今日のそれはいつもの最悪ともまた違う、変な運動をした後のような気だるさがあるのだった。

    「類、起きたのか?」

     まだ起ききっていない頭の片隅を、くぐもった通る声が聞こえてくる。司の声。どこから声をかけてきているのか。それに、妙な雑音が彼の言葉に混じって聞こえ、よくよくその場所を判別できなくなった。

    「……起きてるよ、たぶんね」

     重い体を何とか起こしてみる。体に巻き付いているシーツがいつもと違う。自室にあるソファに投げ捨てられているシーツでも、家の中にあるベッドとも違う、少し手触りの良い物だ。それに、類は今、何も身につけていなかった。
     布団を通り抜け、ひやりとした風が入り込んでくる。少し回復してき思考が回り始めてからようやく、昨日、司の家に泊まったのだと思い出すのだった。

     司は、大学に入ってから一人暮らしを始めた。類はそんな彼の現状を甘んじて受け止めて、よくよく彼の家に泊まるよ 1422

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