voiceジャーン!!という効果音を口に出してまで和谷がお披露目してきたのは、最近テレビCMでも お馴染みの新しい携帯電話だった。
棋院の中なので、その大声が少し恥ずかしい。思わず慌てて周りを見渡すが、こちらを向いている人が居ないところを見ると、そんなには響いてはいないみたいだった。ホッと胸を撫で下ろす。
「ついに買っちゃってさ!へへッ…」
そんな事の為に わざわざ呼んだのか…と思ったが、自慢げに笑いながら鼻を擦る和谷の姿を見ていたら、呆れるというよりは少し微笑ましく思えてきた。
「ボイスメモっていう録音機能まであるんだぜェ」
へー!と進藤が感心したように言う。
少し前まで録音といえばカセットテープだったのに…えらく時代が変わったものだ。そう思った瞬間、なんだか自分が すごく歳を取ったように感じた。
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