オセロゲーム⑦ 観たい映画はないかと聞くと、鉄子は少し考えて怪獣映画の題名を上げた。昔の怪獣映画のリメイクで、土方も子供の頃、義兄に連れて行ってもらった思い出がある。自分も観てみたいと思っていたことを伝えると、鉄子は照れたように、でもどこか嬉しそうに笑った。正直、恋愛映画を指定されたらどうしようかとも思っていたからほっとする。
映画館は大学から少し離れた繁華街の商業ビルに併設する。バスを降りると、大通りを挟んで向こう側に商業ビルが聳えて見えた。通りに沿って、公開中の映画のパネルが並んでいる。
「この映画はVFXの技術がすごくて…」
「ぶ、ブイエフ…、なんだ?」
鉄子は映像技術にも興味があるらしく説明してくれたが、土方はその手には疎く、話を広げられず「そ、そうか」と相槌をうつだけで終わった。鉄子もそんな対応はしょっ中あるのか、あまり気にしていない様子で、
4300