いちばん綺麗なかたちをあなたに 容彩祭での仕事も終わり、あとはモンドに帰るだけとなったアルベドは、クレーとともに稲妻を巡っていた。
祭りの間あまり構ってやることができなかったクレーに、やっとまとまった時間が取れたから遊びに行こうかと手を述べると、幼い彼女は頬を紅潮させ、元気にその手を握り返してくれた。
そして本来はアルベドが先導する予定でいたちいさな手のひらは、思いのほか強くアルベドの手を握り、そのまま全力で走り出してしまう。はしゃぎっぱなしのクレーに半ば引きずられるようにしてやってきたのは、楓の木が連なった、緋木村にほど近い場所だった。
水の落ちる音を耳にしながら、一度アルベドの手を離したクレーは、燃えるような赤色に染まった葉を揺らす木の下へ進んでいく。アルベドも数秒遅れて、小さな背中に続いた。
1928