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    liliput

    @liliput

    好き嫌いなく何でも食べます。

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    liliput

    MAIKING落書きうさちょむ 観用少女パロをワンドロ。プランツドールが普通に存在する世界線です。花冠の設定とか一部捏造してるけれど許してくれ。
    書きたいところだけ書いているので続きとかはないです。むしろわたしが続きを募集しています。フリー素材です。
     その路地にプランツ・ドールの店があることを宇佐美は知っていた。ただ、店に立ち寄ったことはなかった。その路地は単に職場カラス銀行への近道だからたまに利用していただけで、プランツなどに興味はなかった。しかし、その日の帰り道で宇佐美は初めて店の前で足を止めた。店内にいた、一体のドールに目を惹かれたからだった。

     はじめはドールだと分からなかった。プランツ・ドールはほとんどが少女の姿で、華やかなドレスを纏っている。だから飾り気のない白いシャツと黒い半ズボンを身に着けて眠るその少年は、宇佐美の目には生きた人間の子どもに映ったのだ。
     おおかた、プランツを強請ったどこぞの富豪の子息なのだろう。初めはそう思ったが、しかしそれにしては様子がおかしい。少年はうつむいており、やや長く黒い髪が顔を覆っていたが、その顔の左半分に白い包帯が巻き付いていた。少年は富豪の令息の持ち物にしてはくたびれたウサギのぬいぐるみを抱き、奥の椅子に腰かけたまま静かに眠っているように見える。そして店内には、彼の親と思しき人間の姿が一切見えない。
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    liliput

    MAIKINGついったで話が出たのでかつてバレンタイン用にこねていた書きかけを晒します。続きができるかどうかは未定です。
    うさちょむ前提うさしい、しいなさんが🐰さんちで一緒にチョコレートを作るだけの話です。多分……
     ちらりと腕時計に目を走らせて時間通りであることを確認すると、しいなは深呼吸した。そして目の前のマンションの扉を見上げる。クラシックな雰囲気の品の良い低層集合住宅、いわゆるヴィンテージマンションと呼ばれるタイプのそれは、大きな都立公園の傍らの閑静な住宅地に佇んでいた。向こう十数年は絶対に価格が下がらないだろうそれは、銀行員が選ぶ物件としていかにもそれらしい。
     しいなは意を決してインターフォンを押した。すぐに柔らかな男性の声がはい、と聞こえ、エントランスの扉が開く。建物の奥の角、彼の部屋の扉を叩くと、いつもと変わらぬ柔和な笑顔がしいなを出迎えた。
     宇佐美銭丸、しいなの恐ろしい上司。

     いらっしゃい、上がってくださいという声に従い、しいなは宇佐美の後に続いた。穏やかな冬の陽が射す室内は機能的ながら質の良い調度でまとめられ、すっきりと片付いている。一人暮らしにはやや広すぎるが、来客が頻繁にあるなら必要な広さなのかもしれない、という程度のゆったりとした間取りである。いかにも宇佐美の部屋、という印象だ。しいなは素早く室内の隅に目を走らせ、半ば職業的な癖で値踏みし、そして宇佐美らしい丁寧な資産維持に密かに感服した。宇佐美はそんなしいなの視線など全く気付かぬ態度でしいなをダイニングに通すと、どうぞ座ってくださいと言ってキッチンに立った。
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