弔い草木を踏み分けて、鍬の柄を杖代わりに歩いていると、山の中に知らない人間を見つけた。灰色の長い髪と、見慣れない服装で、見るからに余所者だ。その余所者はおれのいる方に背を向ける形で、土の上に膝をついて座っていた。
そいつがいた場所には、死んだ村人を適当に積んであったはずだが、死体は一つもなくなっていた。その代わりに、地面にぼこぼこと山ができている。
「あんたが埋めたのか」
背後からそう投げかけると、そいつは特に驚いた素振りもなく、「ああ」と答えて、振り向いておれを見た。
『見た』とはいっても、そいつは目を閉じていた。長いまばたきかと思ったが、ずっと目を開けない。盲人か、と頭の中で呟いた。この村にも目が見えない婆がいて、見えていないはずなのに、ぴたりと正しくこちらの方向を向くことがあったから、そういうやつなのかもしれない。おれがじろじろと観察していると、そいつは、
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