鬼樹、ネオある、キンと冷えた早朝、まだ人気のない公園の並木道を二人の男が歩いていた。
「…寒いねぇ。」
「…冬なのにそんな薄着で出歩いてるお前が悪い。」
「アハハ、やっぱり?」
ハァッ、と、長身の男はその痩身をいっそう縮こませ真っ白な息をかじかんだ両手に吐きかける。
傍らの金髪の男はポケットに手をつっこみマフラーにしっかり顔をうずめ、それでもやや不機嫌そうな顔をして、隣の頼りない長身に寄り添うように歩いている。
数秒の沈黙の後、再び長身の男が口を開いた。
「…ねぇ鬼樹、僕ね、死ぬならこんな朝がいいなあ。」
男は後天性の虚弱体質だった。
幼い頃受けた実験と薬品投与が原因だが、今更どうすることも出来ず、医者もとうにさじを投げていた。
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