湯煙に誘われて 仲間同士の連携、情報整理。任務の為の「そういう作業」に忙しない刀遣いとは違い、手持ち無沙汰になった刀神というのはなかなか退屈なものだった。
しかし刀神とはいえ十人十色。それを良しとする刀神が居る一方で、そうでない者も居る。石蕗丸はどちらかと言えば後者で、する事が特に無いとなると些か気持ちが急いてしまう。神様にしては損な性分をしているなと、時折自分でも思う。
夜間、バディが会議に招集されて案の定暇になってしまい、さて、どうしたものか、と気分転換に宿内を宛もなく歩き、その途中で石蕗丸はある事柄に思い至るのだった。
閃きのきっかけは視界の端に映った男子便所。入口に掛けられた暖簾のコバルトブルーである。
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