穴の空いた心臓「お前は空っぽだよな」
「なに、悪口?」
迅はじとりと太刀川を見た。個人ランク戦で散々戦って、小腹が空いたとラウンジに引っ張られて、それに快く付き合った迅に向けるには、あまりな言葉である。
とうの太刀川は、んーと気の抜けた声を漏らし、だらしなくテーブルに頬杖をついていた。どこに出しても恥ずかしい攻撃手一位の完成である。何かの炭酸をおざなりに啜った、太刀川の視線は迅に向いていない。
「がむしゃらだったじゃん、お前。未来のため、未来のためって、馬鹿の一つ覚えみたいにさ」
「そうだったっけ」
思うところがないと言えば嘘になるから、迅はとぼけた返事をする。それを知ってか知らずか、太刀川は迅に目もくれずに言葉を続けた。
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