弱み「ーーっと」
ふらついた風間の腕を、咄嗟に掴む。ゆらゆらと重心の定まらない体は、ひとまずバランスを取り戻したようで手を離すと靴を半ば放るように脱ぎ、部屋へと入っていった。
「どっかぶつけんなよ」
見かねた投げた声に返答はない。嘆息して自室の施錠をして、諏訪も風間の後に続いた。真夜中の暗い部屋に、ぱちりと蛍光灯の光が下りる。眩しそうに目を細めた風間は、我が物顔で座していた。
なんだかんだ互いに忙しい身でありながらも、いつもの面子で集まって酒やらを飲み交わしていたのは、一時間ほど前だろうか。風間は普段にしてみれば持った方だったのだろうが、いつも通り早々に潰れ、つまみもそこそこに酒を呷りながらの話は尽きなかった。結局解散したのは、日付も回った頃である。宅飲みだったら朝までコースか死屍累々の二択だったので、それに比べたら健全だろう。
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