「……さっむ」
目が覚めたのは、温かい布団からはみ出た足がいやに冷たかったから。ベッドの中で身を捩ると、体が何かに当たる。回らない思考のまま体を起こして、目を擦った。
くあ、と欠伸を一つ吐く頃には、毛布からはみ出た足が素足であることに気付く。そりゃ寒いと、隠岐は足を戻した。
別段隠岐の寝相は、悪い方ではない。ベッドなんかで寝ていても、寒くて体を丸めることはあってもはみ出すなんてことはほとんど記憶になかった。昨日そんなに疲れていただろうかと、曖昧な記憶を手繰る。その時、横でうめき声がした。
びくりと体を跳ねさせて、ベッドの端に寄る。その時ようやく、隠岐は自分の横で毛布が膨らんでいることに気付いた。
咄嗟に見回した室内は、朝の薄暗さでも分かる。何度も訪れた、水上の部屋だ。
1808