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    人生は沼だらけ

    @life_is_NUMA

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    人生は沼だらけ

    DONE水隠岐小説。大遅刻おき誕🙇‍♂️ 甘やかす先輩と甘やかされる後輩。
    後輩と秋の空「ええ加減機嫌直さんかい」
     ぽすり。大して力の入っていないチョップが落ちてきた。それを頭で受けとめた俺は、じとりと水上先輩を横目で見る。先輩は薄くため息をつきながら、きゅっと眉根をひそめて片眉が上がった。絵に描いたような呆れ顔である。
     それに抗議するように頬を膨らませると、ふっと口の端だけで笑われた。解せん。
     苦し紛れに寮への道を行く足を速めても、意に介した様子もない。苛立ちというほどではないが、行き場のないもやもやを持て余しているのだ。
    「だって、元々俺が教えてもらう予定やったのに……」
     情けない声を出している自覚はあるが、それでも不満はたらたらと口をつく。
     近頃はすっかり日も短くなって、少し下校時間が遅れればあっという間に夜になってしまう。そんな中を本部帰りでもないのに先輩と帰っているのは、放課後に残って勉強を見てもらっていたからだ。今日は九月二十八日の金曜日で、あと二日で隠岐の誕生日になる。日曜日がだからと、クラスメイトには随分構ってもらった。そのついでにと当日防衛任務で会うはずの――なんなら土曜日は先輩の部屋に泊まる約束をしている――先輩にもねだってみたところ、思わぬ了承をもらったのである。色々皆にちやほやされたせいか、珍しく衆人環視の場で先輩に甘やかされたせいか、つい欲をかいた。俺は何も考えずに、中間テストの勉強教えてもらいたいなあ、と言ってしまったのである。
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