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    ちゃつぼ

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    ちゃつぼ

    PAST転生。
    魂で恋をした男たちの話。

    2024.2.3 今夜帳の中で【5】
    愛の領域 女のように長い髪。低い声と重い筋肉を持つ男。
     子宮なんてありはしないから、尻の奥に精を注ぐ。
     マメのできた硬い掌だろうと繋ぐだけで嬉しくて。
     悪い内緒話をいくつもして、馬鹿みたいにはしゃいで一緒に転げ回った。
     うぜえ説教は癪に障るし、鼻血吹くほど殴ってくるし、楽しいことばかりでもなかったけど。

     恋だった。

     あの日オマエが隣からいなくなっても。

     今日この手がオマエを殺しても。

    「恋は愛に、ってね」

     



    *





     彼の気配を感じることが、目にするよりも好きなのだと思う。そこにいると知っている、それだけでいいのだと。

     足音と呼ぶ声、存在感が、綺麗に混ざり合って私へと覆い被さる。上着を羽織った時の感覚に近い。肩を掴まれた掌に然したる力は込められてはいなくとも、抗うことなんて思いつきもしないのだとばかりに、私は腰を捩って向きを変えている。探すまでもなく恐らく最短で視線の出所へ行きつくと、すぐさま眼差しを掬い取られて、ふんわり柔らかく抱き締められる。応えたいという欲求が湧き立つのと、開いた口に舌を差し込まれるのはいつも同時で、正確に、少しだけ上向けていた眼をそっと閉じて、私も彼を抱き返す。触れ合う度、彼の言う「体が覚えている」ということについて考える。確かにそうだと感じる。思考と動作のどちらが先んじているのか、はっきりとは分からない。肉体に引っ張られているのなら、それだけ私たちは愛し合っていたのだ、心から。
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    ちゃつぼ

    PAST転生五夏と元祖五夏のふんわりした話。

    2022.10.30 今夜帳の中で
    あなたは甘い、甘い毒。 傑とは高校からの付き合いになる。家から一番近い高校を選んだら傑がいた。
     俺の運命。
     何だかんだ、ケンカしながらも三年間同じクラスでつるんだ。
    『お前、大学どこ行くの?』
    『〇大』
    『…初耳』
    『今決めた』
     俺は爆笑した。
     傑は面白い。老け顔っていうんじゃないが、タッパのデカさと三白眼で輩みたいな服装を好み──それがまあ似合うのなんの──初見の印象はすこぶる悪い。が、その見た目を大きく裏切るのが一人称『私』を採用している話し方だ。意外にも程がある。意図された微笑みなんて胡散臭いことこの上ないが、それも何故か似合っていた。おまけに声もいい。知らぬ間に吸い込んでいた神経毒の様に、滑らかに浸透している。傑の作る完璧な外面に思うところがない訳じゃないが、好きにすればいいと思った。俺の横でお笑いを見て大爆笑してる様子は可愛いし、俺にブチ切れて拳を出してくる容赦の無さには胸が躍る。傑が悟、と俺を認識して名を呼ぶ行為が、どういう訳か俺を高ぶらせる。呼んでくれもっと俺をと、そういう気分になる。おかしいというより、ああ好きなのかと、俺は俺自身を分析した。俺は傑がいれば他は割とどうでもいい。傑から目を放せない。抱きたい。ぐちゃぐちゃにしてやりたい。
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