降り積む日月【BA after・新年エピ】 年明けは例年慌ただしく感じていたけど、まさか、ここまで忙しくなるとは。
グランバニアばかりが出向くことに異を唱える者もいるが、そこは半世紀も世間を騒がせた負い目もあるし、ルーラ……転移自在の古代魔法を継承しているのが実質僕とルナだけなのだから、致し方ない部分もある。
そのルナも、今年はついにラインハットへと輿入れする。
これまで彼女の能力に大いに助けられてきた事実を痛感するとともに、少しずつ上向いてきた人間世界の情勢と、その歯車に否応無しに組み込まれている自分達の存在感を改めて認識せざるを得ない。
魔王の脅威を退けて六年。新年の祝祭は各地で年々賑わいを見せ、親交のある地域からはこぞって祭典への誘いをいただく。加えてルナは婚礼前からほとんどラインハットの儀礼式典にかかりきりで、ようやく王政を軌道に乗せたばかりの僕らは、大わらわで新年を迎えることとなった。まだ幼い下の弟妹達はサンチョと乳母達に預けて、僕とフローラ、リオがそれぞれ自国の式典をこなしながらも各地のお招きに応じるという、てんやわんやの数日間を送っていたのだった。
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