マクダノ×着圧ソックス思ったよりつけてみたら朝が楽でさ、そう言いながらダニーは器用に足の指でだらりと長いソックスを摘みこちらに投げた。
革靴でコンクリやら土の上やら、さらに足を取られる砂の上を駆け回っていたらそれは疲れるだろう。だからスーツなんてやめればいいのにとは思うが口には出さない。一言告げれば今日家に招き入れてくれたことは無かったことになるからだ。それは避けたい。
幼いグレイスのお泊まりの日ではあるが、珍しく父娘2人きりのところにお邪魔させてもらった身だ。
「……で?」
「さっきも見てたろ?グレイスがネイルしてくれたじゃん」
そういって差し出すダニーの手の指先、爪にはツンとした匂いと共に太陽のような明るい色をベースに爪先はグリーンというよりもう少し淡い色が乗っていた。何度も塗りを重ねた為かグレイスがお休みを言いにきてもまだ乾かず、時折ダニーは軽くボールを握るような手つきをしながらふーと息を吹きかけていたのだ。
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