さくらの花は無惨に散りゆく―「俺が羨ましいと思うぐらい、俺よりも幸せになれよ」
「あ…いっつぅ…」
強烈な痛みで意識が戻る、わたしは…あぁ、腕の攻撃から
穢の女性を庇ったんだった。
咄嗟のことだったから頭より先に体が動いて、ここまで飛ばされちゃったんだなぁ。
顔を上げると、少し遠くで大鳥居から伸びる大きな腕は、まるで苦しんでいるかのように動き回っていた。意識が落ちてそんなに経ってない、なら動かないと…
「…はは、これはもうダメだなぁ」
少しでも立ち上がろうと力を込めれば、激しい痛みが全身を駆け巡る。建物に打ち付けられたところまでは覚えてる、その時に骨も内臓もやられてしまったみたい。
治癒できる祓がいればまだ間に合いそうだけど、こんな瓦礫の中じゃ誰にも見つからない。
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