Merry X'masその日、師匠は赤いサンタ帽を被って相談所の仕事をしていた。
「こういうのは雰囲気だからな〜うちもクリスマス商戦に便乗させてもらって営業しようっつー魂胆だ。お前の分もあるんだから被っとけよ」
そう言って僕は師匠と同じサンタ帽を頭に乗せられて受付の定位置に座ることになった。
その頃の僕はちょうど小学校の冬休みに入っていて特に行くところも無かったから休みに入ってからはよく相談所へと通っていた。普段からお客さんはまばらだったけど、冬になるとそれなりに調子が悪くなる人が多いようでマッサージのお客さんが増えていたから、師匠が施術をしている間僕は漫画を読んで過ごしていることが多かった。お会計の時に真っ赤なサンタ帽を被っている僕を見て、あら可愛いサンタさん、と個包装になったビスケットをくれた常連さんがいて、僕はそのビスケットを食べながら師匠がコーヒーを飲むついでに淹れてくれたホットミルクを両手で抱えて火傷しないようにちびちびと飲んで過ごした、そんな冬休み。
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