ここは地獄の一丁目③ ビシャビシャの浴室を綺麗に魔法で片付けて、ジェイドは約束通り、バスタブから出て足を拭いた。これでいいですかと言わんばかりに、足ふきマットの上でお伺いを立てる。先に上がって髪を拭いていた後ろに立ち、ジェイドが魔法で乾かして差し上げますよと提案してきたが断った。相手が厄介な取り立て屋だと知っている。
洗濯物を籠に放り入れクローゼットから新しいシャツを取り出して羽織った。何度言っても持って帰らないから、ジェイドの私物がいくつか残されたままになっている。大き過ぎるシャツの裾には血がついていて、もう着れないのでと譲ってもらった一枚だ。
明日は特に予定がない。今日がこうなるとわかっているから、次の日はなんの予定も入れないことにしているのだ。頭を拭いていたタオルを首に掛けてソファーに移動する。後ろから付いてくる大きい金魚の糞が我が物顔ですぐ隣に腰を下ろし、それから「失礼」そう言って足首を掴んだ。めちゃくちゃ失礼極まりない。
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