もっと素直に強請ってよ 久しぶりに見つけたそれは日記というより、まるで恋物語のようだった。
縦横均等に、きっちりと整列するマス目の端には数字が書き示されている。日記帳と呼ぶにはあまりにも一つあたりの枠が小さすぎて、これではその日の昼食の感想すら書けやしない。まぁそもそも、予定を書き込むだけのスペースしか確保されていないのだから、当然と言えば当然なのだが。
三年前に使っていた、都々丸の胸ポケットが定位置であったそれは社会人にとっては必需品であるスケジュール帳だ。狭い枠の中には、数年前の自分の感情が溢れ返っていた。本来は予定だけしか記されないそこに所狭しと小さな文字で綴られるのは、あの頃ロンに恋をしていた自分の溢れんばかりの想いの欠片だ。
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