XXXのユメ ――いつだって、突き放すことがあなたの愛だった。
この世界に、そして鏡像世界に残された数多の未踏を見届けず終わるのかと焚き付けられて、心躍らなかったと言えば嘘になる。多くの罪と罰と重責を引き連れた英雄という肩書を、もう下ろしても良いのだと――ただの冒険者に戻って良いのだと、そう言われた。
それがどれほど得難く、優しい祈りに満ちているかなんて、痛いくらいにわかっている。
だからこれは、最初で最後の我が侭だ。
「連れて逝っても、くれないの……? わたし……沢山奪って、沢山殺して、あなたの愛した過去も望む未来も命も、全部ぜんぶ壊したのに!」
光の戦士は、冒険者は、サクラ・セリゼは――
「こんなわたしに、それでも、生きていけって言うの……」
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