とあるマルガの記録私は孤児院で楽しげに遊ぶ子供達を横目に部屋の隅で体育座りをして塞ぎ込んでいる。別に悪い事があった訳じゃない。これが日常。私は見えないものが見える。そのせいで疎まれて、嫌われて、蔑まれる。それが嫌でここにいる。孤児院にいる他の子達も私の事を変な人だと思っているみたいだけど、そんな事はどうでも良かった。ただここで静かに暮らせればそれでいいと思っていたから。それなのに―――。
「やあ、こんにちは」
そう言って私の前に現れた青年がいた。見た目は二十代前半ぐらいだろうか? 茶色い髪をしていて、瞳の色は金色だった。この人は一体誰だろう……? 私が戸惑っていると彼は笑顔のまま口を開いた。
「僕は君を迎えに来たんだ。君はこれから僕と一緒に暮らすんだよ?」
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