アスフォデルスの花がきれいだと聞いたから❀ ❀ ❀
「──ッッしゃ!!」
公式任務の一環となって久しいザグレウスとの勝負。その結果、勝利者が珍しく拳を引き絞り声をあげた。
なぜそんなに自分に勝ったことが嬉しいのかと首を傾げる間に、興奮冷めやらぬ様子でザグレウスはタナトスのもとに駆け寄ってきた。
何にせよ自分のやることは変わらない。
愛しき伴侶の、この先の道行きに生存の可能性を少しでももたらせるようせめてもの贈り物を。
死の化身として矛盾していると言われればそのとおりだが、ザグレウスの無事を祈ることのほうがタナトスにははるかに重要だ。
「見事だ、ザグ」
「嬉しいが、今日はいいんだ。タナトス」
だが、当人から辞退の申し出をされタナトスは再度首を傾げることになる。
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