調子の悪い探偵さんの話。 権力者というのは、どこの国でも似たようなものらしい。
米国のお偉方の警護任務を終えた感想はそれだった。絢爛に着飾り社交の場に出ては、やれ業績だなんだと自慢話を垂れ流す中年たち。はっきり言って無意味な場で、こんなものなら護衛対象には引きこもってもらったほうが手っ取り早いと思うほど。
ほんの数時間のうちに、かつて父の関係で放り込まれたパーティーでの記憶が何度蘇ったかも分からない。そのたびに舌打ちしたくなるのを堪えたので、自分にしては上等だと褒めてやりたいくらいだった。
防寒性の低い正装のせいで一日じゅう寒かったことも、苛立ちに拍車をかけていた。
だが、それも今や終わったこと。
「おかえりシャーリー。おつかれさま」
1827