1. 兄
子供は苦手だ。
最近特にそう感じるようになった。
アルベドが師匠の推薦状からモンドにきてしばらく経った。
アリスはアルベド、騎士団にクレーを預けて旅に出てしまった。
アリスがいた頃のクレーは、たまに甘えてくる程度で特に悪い印象はなかった。
自分より小さな女の子って存在が少し珍しくも感じたくらいだ。
しかし、アリスがいなくなってからのクレーはアルベドにとっては悩みの種でしかなかった。
「あうべどおにいちゃ、遊んで!」
アルベドが研究室に籠っていると、毎日必ず彼女がやってくる。
アルベドの行っている実験は時と場合により小さな子供が近づいたら有毒にもなりえる。「勝手に入ってきちゃ駄目じゃないか。」
アルベドはそう叱咤して毎回彼女を部屋から追い出す。
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