おやすみなさい監督生さんが今晩泊まりに来ている。
それは恋人同士である僕らにとって別段珍しいことではない。珍しくないからと言って何も思わない訳はなく、二人だけで居られる時間はやはり浮かれてしまうものだ。
浮かれついでにこの不自由極まりない重い二本足も、彼女の待つ自室に戻るこの瞬間は水の中を泳ぐよりも速く軽く感じる。ふわふわとスキップでもしてしまいそうな足取りであっという間に戻ってきた。
「監督生さん、ただいま戻りましたよ……おや」
思わず上擦った声に気恥しさを覚えたので咳払いをして誤魔化した。それでも返事がない。ベッドの上に惜しげも無くさらけ出されたハーフパンツから覗く御御足を眺めていた目を、無理やり動かして顔を見る。どうやら待ちくたびれて寝てしまった様だ。
1209