信じたくない俺は、夢を見ているのだろうか。
いいや、絶対これは夢だ。
だって…だってKINGが俺に告白なんてするはずがない。
おまけに…今俺の腕の中にいるなんて…。
「どうした?緊張しているのか?」
「あ、いえ…その…まさかKINGに好きだなんて言われるとは思ってなくて……驚いてて」
「もしかして、嫌だったか?」
「い、嫌だなんてそんな!!俺はKINGの事尊敬してますし…ずっと手の届かない存在だと思ってたから…こうなるなんて想像もしなかったっていうか…」
「…そうだな。俺も、正直迷っていた。この気持ちに正直になるべきなのか…だが、このまま気持ちに蓋をして終えば後悔すると思ったのサ」
KINGは真っ直ぐに俺を見つめて言う。
こんなに想ってくれていることがわかって俺は気を失いそうなほど嬉しかった。
「だから言わせてくれ。俺を……hold meしてくれ」
嗚呼…俺…明日死ぬのかな。
もしそうなら今日思う存分KINGを抱いておくべきじゃないか。
そう思うのも合意の上なら何の問題もないだろう。
俺は手をKINGの背中に伸ばし、自分より大きな身体をこの胸に抱きとめた。
そして、ゆっくり顔を上げたKINGの唇に吸い寄せられるように、唇を合わせた。
夢とは思えないKINGの肌の温かみと、普段聞けない甘ったるい声に俺は蕩けるようだった。
何も纏っていない俺とKINGの肌が触れ合って、心臓の音がダイレクトに伝わってくる。
首筋に唇を落として、想いの言葉を呟きながら掌を下ろしていく。
「…KING……好きです」
「俺も…お前が好きだ」
このままKINGと堕ちていきたい。
そんな欲望すら湧き上がってきた俺はめいっぱいKINGを抱きしめて…そして……。
そして……俺たちは。
(──…)
…誰だよ…今いいところなのに。
(──……い)
うるさいな。
(…………おい)
だから……うるさいって………。
「うるさいって言ってるだろ!!!!!」
「what's!?」
「……え?あ…あれ…きん、ぐ?俺……」
「…やっと起きたか」
「……え…あれ…えっ…ここどこですか!??!!え……」
「寝ぼけている場合じゃないぞ。そろそろ出発の時間だ」
訳が分からず慌てる俺を訝しげな顔で見つめていたKINGは近くにあったケッタギアに乗って言った。
俺は辺りを見回してみると、他の仲間が続々と集まっており、俺はベンチに横たわっていた身体を起こした。
どうやら、ここで寝てしまっていたらしい。
そう認識すると同時に、夢に見たKINGの姿は幻だったのだと理解してしまう。
「…本当に…夢オチ…だったのか…」
自分でも信じられないくらいか細い声で呟いて、頭を抱える。
そりゃそうだよ。だってKINGが俺にあんな感情抱くはずがない。
期待以上に落胆に襲われた俺はケッタギアを疾走らせながら、密かに泣いた。