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    なまこ

    mitotte_kazu

    PASTナマコさん(@namakomesi )から素敵なお題を頂いたので勝手なイメージで書き上げた🦍と🐇さんのお話
    紅茶とジャム 普段は珈琲を好んでいるヴィエラもたまには紅茶を嗜む。基本的にホットドリンクが好きで、更にそこに仄甘い焼き菓子が添えてあるだけで彼女にとってはご褒美になるらしい。ダンジョンで遭遇した相性が良くない野良冒険者や依頼を達成する上で生じたトラブルなどで損なわれそうな機嫌を、そういったもので整えている姿をしばしば見かけた。本日、例に漏れず人件費を削減したがる倹約家の依頼者からの無茶振りに応じた彼女もそうだった。
    「本っ当あり得ない!!」
     依頼者の前では冷静に落ち着いて対応していたものの、休憩と称して寄った喫茶店で彼女は声を荒げていた。ぷりぷりと怒りながら愚痴を溢す彼女に本当にお疲れ様だったとルガディンはメニューを差し出す。全くもう!と唇を曲げていた彼女が開かれたメニューに目を走らせた。眺めている内に纏っていた空気から棘が少なくなるように感じられ、安心したように彼も自分の分を広げ視線を落とした。食事を摂るには半端な時間だが小腹が空いている。軽食の写真が載せられたページを眺めていると、目の前の彼女も微かに唇を引き締めて真剣な表情でメニューに視線を向けていた。ペラペラとページを往復し、むう、と眉間に皺を寄せている。
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