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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
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    mitotte_kazu

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    ナマコちゃんさん(@namakomesi )から頂いた素敵なお題で書いた🦍と🐇さんのよくある何気ない日常のお話

    #ディンエラ

    硝子玉の君  ラザハンの露天に並ぶアクセサリー屋の前で、ルガディンの足が止まる。この国らしい色鮮やかな色彩で飾られた装飾品の陳列に目を奪われていた。
    「よろしければどうぞ」
     お気軽にご覧くださいと言わんばかりに、柔和に微笑んだアウラの男性店主が手を翳してくる。そう言われたら断る訳にもいかず、店主に歩み寄った。細やかなビーズで作られた腕や首飾りを眺めていると、手に取ってご覧頂いても、と声をかけられる。壊しそうだと萎縮しながら恐る恐る持ち上げ、かざして見ると光を透かしたビーズが一層輝いて見えた。好きそうだなとヴィエラの顔が頭をよぎり、買って行こうかなどと思う。しかしデザインが多くある中から彼女好みのものを的確に選べるかと言われれば自信もなく、手に取った品を棚に戻した。
     店主に会釈をして、少し離れたところでリンクパールに触れる。通信音が鳴ったと思った瞬間、元気なヴィエラの声が耳に響いた。
    「今、大丈夫だったか?」
     大丈夫だよ、と返ってきたものの、微かに喧騒が聞こえる気がした。気を遣わせてしまったかと思ったらもしもし?と彼女が声をかけてくる。
    「丁度ペルペル族の依頼も終わったとこだったし、本当に大丈夫だからね?」
     念の為、といった調子で念を押され、つい苦笑してしまった。ではお言葉に甘えて、と話を切り出す。
    「ラザハンの露天で、好きそうなアクセサリーを見かけてな」
     ほほう、と彼女が食いついてきたのを感じた。今お店の前?と確認され、頷きながらそうだと返すと、ちょっと待ってて、と通信が途切れる。嫌な予感がして、店の前から広がった通路の方を向いて待機していると、ふわりと軽やかに彼女が降りたってきた。
    「いいねぇ!」
     指輪を用いたテレポで来た彼女が、陳列された商品に負けないぐらい目を輝かせる。好きな感じ〜、と呟いた彼女は物怖じせず次から次へと手に取っていった。
    「これ可愛い〜!あ、この組み合わせもありだなぁ」
     目移りしながらも述べられる感想と彼女の反応を楽しみつつ、同じ商品を眺めていく。どれも同じように綺麗に見えるが彼女にとっては違って見えているらしい。
    「この組み合わせが好きなんだけど、こっちのこのパーツも可愛くて」
     迷う〜!と両手に商品を持って真剣な横顔に、片方を買おうか提案しようとした矢先だった。
    「余ってるパーツでよかったら譲るよ」
     店主がにんまりと口角を上げた。欲しいのが揃ってる保証はないけど、と傍に置かれていた容器から小袋にまとめられたビーズを並べていく。数回瞬かせた目を輝かせた彼女が見せて見せて!と身を乗り出した。
    「えっこれもあるの!?」
     手からこぼれそうなぐらいにビーズを抱えてはしゃぐ彼女につい頬が緩んだ。その隣に並んで彼女が好きそうなものを選ぶと、やばい、と彼女が呟く。
    「買いすぎちゃう〜!」
     嬉しい悲鳴を上げる彼女に小さな籠を手渡してくる店主に、全てくださいと声をかけると、ニヤリと笑われた。
    「安くしとくよ」
     それを聞いた彼女がやったぁ!と籠へ次から次へと吟味したガラスビーズを追加していく。高価な宝石も似合いそうな人なのに、と思いながらそれを眺めていた。
    「ホテル戻ったら早速作っちゃおうかな」
     買ったビーズの入った袋を目の高さに翳した彼女が弾んだ声でひとりごちた。いいと思うと返せば、
    「ディンのも作ったげるね」
     にっこり微笑みかけられ、苦笑してしまう。1人分にしては多すぎると思った硝子玉のビーズには、彼が思っている以上の愛情が込められているようだった。
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    mitotte_kazu

    PASTナマコちゃんさん(@namakomesi )『うちよその片割れを「パートナーに愛されてる自信があるほど早く開く部屋」につっこんでどのくらいで部屋から出られるか聞きたい』やつの🦍の短いお話し
    解錠 重怠い頭を押さえて、ルガディンはゆっくり身体を起こす。無機質かつ生活感のない室内の床に転がされていたようだった。どことない既視感を覚える部屋の壁には「パートナーに愛されてる自信があるほど早く開く部屋」と書かれていた。無害そうな部屋で何よりだと思い、周囲を見渡す。当然ながら窓は見当たらず、厳重に鍵がかけられた扉のみが佇んでいた。念の為ドアノブに手をかけてみるも、扉は開かない。そうだろうなと苦笑して室内にぽつりと置かれた椅子に腰を下ろした。
     さて現実逃避はここまでにしておこう。自身を愛しているとされるパートナー、と言われれば、当然彼女のことになるだろう。世間一般的にはエターナルバンドもしており、周囲もそう認識してくれている人も少なくはない。しかし情はなくとも教会の門は広く開かれ、エターナルバンドは誰かれ問わずできるものではある。そう形容すると語弊が生じるが、彼女に情がないわけではない。というかむしろ自身が思っている以上に彼女には大きな感情を抱いている恐れがある。あれほど魅力的かつ素敵な女性が自分を選んだ、などというのは正直尊大すぎる。思い上がりも甚だしい。
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    mitotte_kazu

    PASTアルバートと🐇さんの香水ネタ
    無粋と香水 部屋に戻ってきたヴィエラが疲れたようにベッドに倒れこんだ。お疲れさん、と姿を現したアルバートに疲れたぁ、と布団に顔を埋めたままくぐもった声で返す。
    「罪食い多すぎ……」
    「仕方ないだろう」
     ぼやいた彼女に彼が短く返すとうー、と何かを訴えるように呻いた。ベッドに歩み寄り、腕を組んで彼女を見下ろす。
    「ほら、飯でも食え。腹が減ってはなんとやらだ」
     わかってるぅ、と呟いた彼女がのろのろと起き上がる。と、その首元にアルバートが顔を埋めた。形容し難い声を漏らして後ずさった彼女に彼は無邪気に尋ねる。
    「香水か?」
     花の匂いがする、と首を傾げたアルバートに一瞬の間を置いてヴィエラは頷く。
    「花だけじゃないけど……」
     指を折りながら彼女が香水に含まれている植物の名を挙げていくが、幾つかピンとこないようで彼は更に首を傾げた。その様子を見てゆっくりと立ち上がった彼女が室内のドレッサーに近付く。しばらくそこを探っていた彼女がこれこれ、と綺麗な小瓶を手に彼の元へ向かって歩み寄った。ゆらゆらと彼女の手の中で揺れる瓶をなるほど、と眺めていた彼の前で、彼女は自身の手首に数回香水を吹き付ける。強く広がった香りに一瞬顔をしかめた彼があぁ、と小さく呟いた。
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    related works

    mitotte_kazu

    PASTヴァレンティオンを満喫している🦍と🐇の短いお話
    贈呈 毎年恒例になりつつある、海都でのヴァレンティオンの催事場巡りに今回も付き合っていた。ヴィエラに付き添っていただけの当初に比べて多少慣れてきたルガディンも、露天を覗き見比べる余裕が出来てくる。
    「これは今年の新作か」
    「そう〜!去年から定番になったこっちも美味しいよ!」
     少しわかってきたと思っていたが、やはり彼女の知識量などには勝てない。真剣な顔で次の店の品定めをする彼女の手から、戦利品の入った紙袋を苦笑しながら受け取った。ありがと、と身軽になった身体で手早く会計をすませる彼女を遠巻きに眺めていた。
    「ここの好き」
     何軒目かを巡っていた時に彼女が呟いた店のチョコレートや包装に見覚えがあった。以前貰ったものだな、と何気なしに視界に入った価格を二度見して、目を剥いてしまう。横に書かれた説明を流し見て、ブランド物のククルビーンを手間暇かけて加工してウルダハで販売している有名店だとようやく把握できた。通りで高価で美味いはずだと1人納得している横で、また真剣な表情で陳列されている商品を吟味している彼女が頷いた。これとこれください、と慣れている彼女の指がチョコレートの上を滑っていく。彼女が選んだ商品が丁寧に包まれていくのを眺めながら、パッケージまで可愛いな、などと思った。
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