ひな
ひなげし
DONE自鬼小説。狂ヒナで書かせて頂きました。狂蠱様とヒナギクの出会いから、合わせ技(混成血鬼術)が生まれるまでのお話。
※前半、魘夢さん出てきます。後半、狂ヒナでかなり触れていますのでご注意下さい。
自鬼小説『重なり』 いつか崩れていくとしても、重なり合う、僅かに開いた隙間から。
「ねえ」
いつもの声が聞こえて振り返る。
私は相変わらず霊園で出会した餌を苗床にして、のらりくらり喰い繋いでいた。自分の狩場でも無い癖に。
「あら、魘夢さん。私の元にいらっしゃるという事は、御身体が寂しいのかしら?」
「…………お前は本当に頭の中がお花畑で愚かだねぇ。違うよ。今日はお願いがあって此処に来たんだ」
普段ならば、特訓と称して媾い合う頃だ。
私は他の鬼とは少し事情が違っている。鬼の長であり全ての始まり、“あの方”から直々に血を戴いてはいない。“あの方”の寵を受ける鬼は特別に配下を作る事を許されており、配下にされた者は術や容貌、仕草や考え方に至るまで主であるその鬼に与えられる事となる。上弦の鬼であれば自身の血を一時的に“あの方”の血へと昇華出来るが、それ以外の階級の低い鬼は不可能な為、人間に直接そのまま流し込むのだ。それは言ってしまえば、“あの方”の血が極端に薄く支配される範囲もごく僅か、それ故に主である鬼は配下に対して自身の嗜好を一定量植え付ける事が出来る。但し、鬼としての力も脆弱だから各々特訓が必要なのである。
6894「ねえ」
いつもの声が聞こえて振り返る。
私は相変わらず霊園で出会した餌を苗床にして、のらりくらり喰い繋いでいた。自分の狩場でも無い癖に。
「あら、魘夢さん。私の元にいらっしゃるという事は、御身体が寂しいのかしら?」
「…………お前は本当に頭の中がお花畑で愚かだねぇ。違うよ。今日はお願いがあって此処に来たんだ」
普段ならば、特訓と称して媾い合う頃だ。
私は他の鬼とは少し事情が違っている。鬼の長であり全ての始まり、“あの方”から直々に血を戴いてはいない。“あの方”の寵を受ける鬼は特別に配下を作る事を許されており、配下にされた者は術や容貌、仕草や考え方に至るまで主であるその鬼に与えられる事となる。上弦の鬼であれば自身の血を一時的に“あの方”の血へと昇華出来るが、それ以外の階級の低い鬼は不可能な為、人間に直接そのまま流し込むのだ。それは言ってしまえば、“あの方”の血が極端に薄く支配される範囲もごく僅か、それ故に主である鬼は配下に対して自身の嗜好を一定量植え付ける事が出来る。但し、鬼としての力も脆弱だから各々特訓が必要なのである。
spring10152
DONEひなたに彼氏の肉を食わせる静さんの話幸福な食卓私はルームシェアをしているひなたの為に毎日食事の用意をする。それが私達の役割分担だったから。私は正直料理の腕には自信がある。毎日一汁三菜、ほかほかと湯気を立てる温かい食事を、愛を込めて用意していた。そう私は彼女の愛していた。
私が彼女の愛していたというのは、友愛や親愛ではない。恋愛感情だ。私は彼女が欲しいと思っているし、彼女が他人と話していれば嫉妬する。正真正銘欲を持って愛していた。
けれど彼女が同性愛者でない事は分かっていたし、私はこのルームシェア生活が続きさえすればそれで良かった。想いを伝えるつもりなどなかった。あの日までは。
彼女が男の恋人を作ってきたのだ。今まで恋愛にはあまり興味が無い、彼氏はいらないと言っていた彼女が。私の見知らぬ男の隣で幸せそうに笑っていたのだ。許し難かった。そんな男の何がいいのだ。背なら私だってひなたよりも高いし、性格だって女の子に好かれやすい。顔だって悪くないはずだ。私の方がひなたの事を何でも知っていて気遣いができて最高の恋人になれる筈なのに。それなのに、あいつは男というだけで私からその座を奪い取ったのだ。
1581私が彼女の愛していたというのは、友愛や親愛ではない。恋愛感情だ。私は彼女が欲しいと思っているし、彼女が他人と話していれば嫉妬する。正真正銘欲を持って愛していた。
けれど彼女が同性愛者でない事は分かっていたし、私はこのルームシェア生活が続きさえすればそれで良かった。想いを伝えるつもりなどなかった。あの日までは。
彼女が男の恋人を作ってきたのだ。今まで恋愛にはあまり興味が無い、彼氏はいらないと言っていた彼女が。私の見知らぬ男の隣で幸せそうに笑っていたのだ。許し難かった。そんな男の何がいいのだ。背なら私だってひなたよりも高いし、性格だって女の子に好かれやすい。顔だって悪くないはずだ。私の方がひなたの事を何でも知っていて気遣いができて最高の恋人になれる筈なのに。それなのに、あいつは男というだけで私からその座を奪い取ったのだ。
ui_niji
DONE23/09/02開催の男女カプwebオンリーにて展示させていただいたタケヒナ漫画です🍀・最終回後の結婚してるタケヒナが愛を深める?お話(相談役としてマiイiキーと千i冬も出てきます) 12
may_2ba
DONEれい誕-----
れいくんお誕生日おめでとうございます!
ひなくんルートのれいくんの、大切なひとの幸せを願うひたむきな強さが個人的にたいへん好きで、れいさん…の気持ちがブワッとくることが間々あります。(なので呼び方が未だにフワフワしている)
もちろん正史でちゃんさんと幸せになる未来も見守ってゆきたいこと限りなしではあるのですが、やっぱりあのシーンを見た時の「ああ、この子はこういうふうにひとを好きになれる子なんだな、すてきだな」っていう感情が忘れられない脚本家です
今年もどうかすこやかで!
amamiya_mikan
PROGRESSイザカクのカクと武ヒナのヒナが仲良しであれば嬉しいな、が前提にあるVD小話(を書こうとして間に合わなかったモノ)です。このイザ(20)カク(16)は付き合っています。 3376ちくの
DONE2023.2.19「メは口ほどに物を言う」展示小説(再録)ヒナイチと秘密を共有するメビヤツの話。
梅香のひみつ「ドラルク! 今夜の監視任務を」
ぴょんと勢いよく床板を跳ね上げロナルド吸血鬼退治事務所に顔を出したヒナイチは、暗い室内に「留守か」と呟く。入口に佇むメビヤツの頭にいつもの帽子がないところを見ると、仕事に出ているのだろう。
「仕方ない、今日のおやつは……ん?」
よいしょと事務所に上がり込んだヒナイチは、部屋じゅうに漂う香りにくんと鼻をうごめかせた。
甘い香りだ。けれど、いつもこの家でしているバターや砂糖やフルーツを煮込んだあたたかい香りとは違う。この、暗がりにうすく広がっていくような、やわらかくてほのかな香りは――……。
ぐるりと事務所を見回せば、香りの元はすぐに判った。
「ああ、これか」
ロナルドの机の上に、ぽつぽつと花をつけはじめた梅の枝が活けられている。
12112ぴょんと勢いよく床板を跳ね上げロナルド吸血鬼退治事務所に顔を出したヒナイチは、暗い室内に「留守か」と呟く。入口に佇むメビヤツの頭にいつもの帽子がないところを見ると、仕事に出ているのだろう。
「仕方ない、今日のおやつは……ん?」
よいしょと事務所に上がり込んだヒナイチは、部屋じゅうに漂う香りにくんと鼻をうごめかせた。
甘い香りだ。けれど、いつもこの家でしているバターや砂糖やフルーツを煮込んだあたたかい香りとは違う。この、暗がりにうすく広がっていくような、やわらかくてほのかな香りは――……。
ぐるりと事務所を見回せば、香りの元はすぐに判った。
「ああ、これか」
ロナルドの机の上に、ぽつぽつと花をつけはじめた梅の枝が活けられている。