冷たい手足と温かい気持ち晴れた日はなるべく日光を浴びるように。
機械の中に居る時間が長かったから、体内時計を合わせるためだと言う。

日光浴などしたこともなかったアインに対し、提案されたのは屋敷の中庭での仮眠だった。
寝苦しくないように、横になれる位のベンチが用意された




「こんにちは。あなたがアイン、ね」

　　
　　　　　
「アイン、兄様が大好きなのね。」
「そう、なのでしょうか。」
「だって、兄様の話をするときすごく嬉しそうなんだもの」

ソメイユ終末病棟年中雪が降る辺境地にある大きな終末病棟
そこは毎日数百という死者を看取り弔っていた。
末期ガン、感染症、狂犬病…
完治は見込めないという患者はこぞってここに運ばれ最期をこの白く寂しい病棟で過ごす事になる。
しかしそこにも白衣の天使というものは存在していた
それがシプレを含む獣人の看護師達だ。
そして不思議な事に看護師達は全て獣人で、名はみな植物の名前で統一されており、全て花言葉が少しばかり不穏な意味合いを持っていた。

｢シプレ｣
｢なんでしょうドクター｣
｢この薬をエミリアに投与してやってくれ、きっと少しは楽になる｣

承知しました
頭を下げるシプレの頭に結ばれたリボンが揺れる。
シルバーの長髪を揺らしながら広い病棟を迷う事なく歩きドクターの言う通りエミリアという患者の部屋へとやってきた。