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    もず

    rrKonrr

    DONE⚠️自然災害についての描写があります。フラッシュバック等ご心配な方は閲覧をお控えください。⚠️

    一回別れたけど未練たらたらなえんじがヨリを戻したいはなし。
    結局ホはどこまでもえんじに甘いし、えんじはホの愛情にあぐらをかいてるから、周りは「絶対やめといた方がいいってー!」ってなるんだけど、本人たちが幸せならそれでいいよとしか言えない。
    このえんじ、常くんには今後もずっと睨まれててほしい。
     それが彼のためだと、本当に思ったのだ。

     分かりましたと、ホークスは言った。どこまでも静かな瞳だった。振り返れば、彼はいつもそうだった。人付き合いというものは大なり小なり、すれ違いや意見の相違の連続であるはずだ。しかし、彼と付き合う中でそういうズレをろくに感じたことがなかったことに気が付いたのは、「もう辞めるべきだ」という終わりの台詞を口にしてからだった。
     自分の言葉に対して、ホークスが首を横に振ったことはなかった。そうですね、了解です、それがいい、そうしましょう、さすがです——いつもそう言って、楽しそうに笑うばかりで。
    「分かりました」
     出会い頭に何の前置きもなく別れを切り出された、こんなときでさえ。
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    にしはら

    DONE【耀玲】いつまでもずぶ濡れになる玲ちゃんの話。ツイに上げてるものと一緒です。
    深水の残り香深水みずの残り香』



     ついてない、と感じる時はとことんついてないことばかりが雪崩れを打って押し寄せてくる。
     全身の沼に浸かり込んだような倦怠感があるのは、水気をたっぷり吸い込んだスーツのせいだろう。
     退庁時を襲ったのは突発的な土砂降りだった。夜更けにもかかわらず、一人きりで黒く濁った低天の下を力なく歩き進めていく。不用心なのは勿論承知だったが、課内は上長会議や代休取得も相まって人気もなかった。お気に入りの折り畳み傘は先日壊れたばかり。ロッカーの置き傘はビニール製故か誰かが持ち去ってしまった。
     絶対にずぶ濡れると分かってしまったら不思議と走る気にはならなくて、九段下駅へ真っ直ぐ進める筈の脚は反対方向のお堀沿いの道を選ぶ。広大な堀の中で気持ち良さそうに泳ぐ鯉も、この雨嵐の中では気配を見せない。状況としては、私も水の中を泳ぐ魚と一緒かも知れないなと雨に打たれる頭が取り留めのないことを考える。パンプスも膝下ストッキングもパンツスーツの腰周りも全部ぐしょぐしょで、浸水していないところなんかありはしない。必要最低限の荷物だけを入れたオフィスバッグだけは腕の中で死守しているが、恐らく徒労に終わるだろう。
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