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    もの

    たつき

    PROGRESS9/21の王の器で出すリンぐだ♀全年齢小説本「貴方と歩むひととせを」の書き下ろしの試し読みです。
    サンプルには早すぎるんですけど煮詰まって筆が止まってるので尻たたき用です。

    魔女集会パロのようなものです。
    魔女のつがい とある西方の国の森の中、橙の髪の魔女が住んでいた。魔女と呼ばれてはいるが、不思議な術の類は使えない。ただ森で薬草を採り、薬を作る事を生業としていた。月に数度村へ下りて薬を卸し、食料と交換し森へ戻る。そんな生活に特に不自由もしていなかった。ただ一つ悩みがあるとすれば……。
    「寂しいな……」
     魔女は一人の家でそう呟いた。魔女の名前はリツカ、先祖代々の魔女の家系だ。父は物心つく前に、母は数年前狼に襲われて亡くしている。それからはずっと広い森にポツンと建ったこの家で一人暮らしだ。彼女はもそもそと朝食のパンを食べると日課の薬草採取に出た。小鳥が囀る中バスケットを片手に朝の森を歩き、朝露に濡れた植物を採る。朝だというのに背の高い木々がうっそうと生い茂った森の中は少し薄暗い。木々の隙間から漏れる陽の光を頼りに歩いているとふと足が止まった。草の上に転々と血の跡が続いている。手負いの獣か、怪我人であったなら大変だ。血の跡を辿って歩いていくと、背の低い茂みの中に白い手足が見えた。慌てて引っ張り出すと、まだ十かそこらの幼い男の子のようだ。左右で白黒に分かれた髪の毛、長い爪、何故か服を着ておらず腹部から出血していた。すぐに手当てしなくては傷口から化膿してしまう。その少年を抱え上げ、急いで家へと走った。
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