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    エリオ

    pie_no_m

    DONE🐺🍕×🐈‍⬛🎧で👿🍣と💀🍺も出てくる。
    やりたい放題のファンタジーパロです。何でも許せる方向け。
    ラ リュミエール 息をひそめ、自らの気配を殺す。
     カーテンは閉め切り、電気を消していても、フェイスの目には部屋の中の様子がよく見えた。窓から射し込むランタンの灯りは、リビングの床に二人分の影を伸ばしては縮めていく。尖りきって壁にまで届きそうな三角の影は全部で四つ。フェイスの猫のようにぴんと立てた耳と、隣で膝を抱え背を丸めるディノの、フェイスのものより大きくてふさふさの毛が目立つ耳。そのシルエットがひくひくと落ち着きなく動くのを、フェイスは身動きもせずただじっと見つめていた。
     十月三十一日。外から子供たちの興奮した話し声や高い笑い声が聞こえる。きっと彼らは魔物や悪霊の姿を模して、通りの玄関の扉を順番に叩いては大人に菓子を要求している最中だろう。それではなぜ、そんな通りに面した部屋に住む自分たちはこうして身を隠すような真似をしているのか。フェイスはともかく、ディノは普段から街の人間と仲が良い。喜んで道行く子供たち皆に菓子を配りそうなものだが――明白な理由である三角形の影が、フェイスの見る前でまた一回ひくりと動いた。
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    nisshyhana2

    CAN’T MAKE倉下さんの素敵な無自覚シリモニを見てわーって書きましたが、アイザックになりました。4afterくらいの時期のイメージです。作中の恋について考えるとアイザック(とエリオット)はブリジットの恋を知ってるんだなあってなって、自分も綺麗なままアークのことを想っていたかったってちょっと思ってるところもあるかなって。
    モニカはシリルと仕事してるし、きっとシリルの数字も嫌いじゃないよね。
    未だ遠い恋の唄 どこか遠くでポロンときれいな音がこぼれ落ちた。辿々しく始まったその音は、いつしか和音を奏でると高く駆け上がり、初冬の校舎に響きはじめる。
     モニカは先月分の報告書を捲りながら、無意識に耳を澄ませた。

     初冬の晴れた日の午後。生徒会室の大きなガラス窓は表面積いっぱいに陽射しを取り込み、舞い上がった埃をキラキラと輝かせた。
     暖炉に火を入れなくとも室内は暖かく、蝋燭を用意せずとも手元は眩しいほどに明るい。
     生徒会の面々は今は部屋に居ない。職員室に赴いたフェリクスとシリルはもう少しかかるだろう。今日は職員への報告以外にこれと言った用事がなく、会長と副会長以外は各々の細かい仕事に出掛けていた。
     そんな中、モニカだけは今月の会計報告書のために生徒会室に居座り先月の書類の見直しを行なっている。
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    miya_ko_329

    CAN’T MAKE書きたいところだけ(ガエリオとヤマジンの辺り)。CPメインじゃないはなしだったが、結局ガエジュリになったった。
    鉄血/ガエリオとジュリエッタ 永遠ではなく、けれど不変の。

     寒さは嫌いではない。互いの身を寄せ合うための格好の口実になるから。
     別に訳もなく引っ付いても許されるだろうけれど。

     温かさを保証する柔らかな寝具に包まれながら窓の外を見遣る。ほとんど白に近いような薄い青の空と、鈍い色の常緑樹や裸木の木立に目を遣る。温暖な海域を漂うことが多いヴィーンゴールヴにある自宅から見える景色と、色も空気も何もかもが違う。すべての景色の彩度は低く、太陽光は薄い雲の向こうから射していてどこか遠く感じる。慣れ親しんだ潮の匂いを多く含んだ大気はここにはなく、湿った土や木々を感じさせるものが取り巻いている。馴染みのないはずのそれらは、けれど決して不快ではなかった。たとえ自立が叶わない身ではあっても、大地に足を下ろしているのだと実感するからだろうか。宇宙空間とは明らかに違う圧倒的な安定感。それでいて絶えず変化する景色。薄い雲が流れて太陽がさっきよりもやや強い光を地上に落とす。一瞬たりとも同じ風景は無い。移ろう時間を感じられるのは大地の上で生きているからこそだ。あれほどに長く星の海に身を置いていても、結局自分が帰る場所はこの惑星の大地だった。
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