運命の行方火葬炉に吸い込まれていく白い箱を眺めていた。
ここには遺族も親族もいない、生涯孤独だったと思う。
この人となら上手くやっていけそうだったのにな、なんて手遅れな願いだ。
施錠された扉の向こうで焼かれているだろうそれを少し眺めてから断熱扉に背を向けた。


「始まった？」

「はい、今から2時間ほどでしょうか」

「残った遺骨はどうするの？」

「焼き切りを願いたかったのですができないと言われてしまったので、残るのであればペンダントにでもしようかと思っております」

「へぇ、少し妬いちゃうかも」

「もし殿下が亡くなった時はそうしてさしあげますよ」

「え〜？まるでぼくが死ぬみたいな言い方やめてよね！悪い日和！」


　待機室。今は2人。
もうしばらくはここに訪れはしないだろうが。

「明日11時、フィッシュブルネン集合」　サッカー界で知らぬ者はいないと言われているドイツの名門サッカーチーム──バスタード・ミュンヘン。
　ミュンヘンを本拠地として活動しているこのチームは、現在世界一のストライカーと名高いノエル・ノアが所属しており、フットボーラーであれば一度は所属する事を夢見るだろう実力と知名度を兼かね備えたチームだ。
　そうして青い監獄ブルーロックプロジェクトの"申し子"として多大な存在感を示したお陰で、そんなバスタード・ミュンヘンからダイレクトオファーを受け、長年の憧れだったチームに昨年から所属している潔は、ピッチ上で見せる鋭い眼差しとは違い、青年にしては大きな瞳を困惑に染めていた。

WMA(World Mystery Association、世界怪異協会）についての情報「怪異をもっとありふれたものに」をモットーに活動している。
怪異を街中に放ったり、一般市民に無理矢理異能を植え付けたりしている。
組織のボスについては能力はおろか名前、性別すらも分かっていない。
怪異をエネミーとして討伐対象としているDeCOを非常に強く敵視していて、それに反抗するように、一般職員は白スーツ、幹部職員は黒スーツの着用を義務付けている。
本部はヨーロッパ、ドイツのどこかに位置している。
ちなみに日本にある支部は「極東支部」となっている。
欧州、世界怪異協会本部
本部がとある「秘密」を隠すため、異常なまでの情報統制が敷かれており、怪異がいるかどうかすらもあいまいな認識になっているため、DeCO職員も協会の職員も持つ力は他の地域と比べて控えめになっている。