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    すすき

    ブラカイ(カ受)/カプ無

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    POIPOI 78

    すすき

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    ブラカイWebオンリー連動企画参加作品。
    連動お題「上司」「盗賊」
    通常お題「指輪」

    探偵のブラッドリーとバイト助手のカインの話です。
    ブラカイというよりブラ+カイになってしまった

    インカムから聞こえた上司の声は随分弾んでいる。カインをからかう言葉も絶好調だ。こっちは一々返事をしている余裕なんてないというのに。だからこそ、言っているのかもしれないけれど。この人は本当に。
    『俺様が、何だ?』
    「っ、いい性格してるなって、言ったんだ!」
    少しだけ張り上げた声を冷静に注意されて慌てて口を噤む。進むのを止めて様子を伺って、特に変わりないのを確かめてほっと息を吐いた。こんな狭いダクトの中で見つかったら逃げられない。いや、そもそもダクトに入り込んでいる時点でアウトだ。先の見えない薄暗い通路にため息を吐く。
    「これ、本当に必要なことなのか?」
    『じゃなきゃ許可なんて出ねえだろ』
    「それは、そうなんだが……」
    とっとと進め、という声に渋々返事をして手を動かした。滲んだ汗がこめかみを流れている。いくらカインが体力に自信があるからと言って、ほとんど匍匐前進みたいな移動をずっと続けていたら疲れもする。あんたも来ればよかっただろと文句を言ったところで、持ち腐れてた宝を使わせてやるのだなんて言われて終わりだ。実際そうなのだから何も言えない。
    この人のところで働くようになってから日は浅いが、体力には自信があると話して採用されたにも関わらず、それを生かした仕事はほとんどできていなかった。カインがしたことと言えば、ちょっと遠出しておいしいお酒を買ってくることくらいのものだ。それだって単なる上司の趣味であって仕事じゃない。だから今回は、カインにとって初めての仕事らしい仕事だと言える。かもしれない。
    だけど。
    「これ、本当に探偵の仕事なのか? 盗賊と変わらない気がするんだが」
    『盗賊と探偵が同時に存在しちゃならねえ法律はねえだろ』
    「少なくとも盗賊はだめだろ?!」
    また声を上げてしまって注意される。依頼人の名前を出されると大人しくする以外になかった。まじめで誠実そうな青年の顔を思い出す。
    ——指輪を、取り戻してほしいんです。
    一番の宝物だと、本当に大切なものなのだと話すあの青年の力になりたいとは思う。仕事を任せてくれた上司の期待に応えたいと思う。だけどそのやり方が〝奪った奴の会社に潜入して奪い返す〟だとは思わないじゃないか。それが確かに一番確実ではあるんだろうけど。どう考えたって法律ギリギリどころか一発アウトだ。あの人本当に探偵なのかと思わずにはいられないが、こんなところにいるカインだって結局は同じ穴の狢なのはわかっている。
    「今までもこんなことしてたのか?」
    『さあな』
    はぐらかす台詞に顔を顰めるより早く、おまえはどうなんだと言われて反射的にあるわけないだろと返す。
    『にしては素直じゃねえか』
    「だって、あんたが言ったんだろ」
    真っ当に取り戻すための布石なのだと。あの時の言葉は決して嘘じゃなかった。だからカインはそれを信じようと決めたのだ。
    全てが正しいとは限らない。だけど、そこに確かな矜持が見えたから。
    「俺は、あんたを信じるよ」
    汗を拭って前に進む。支給されたスマートウォッチには目的地まであと少しだと表示されている。そう言えば外から聞こえる声も先程までとは違う気がする。もう少しだぞとインカムに呼びかければ、不自然な間が空いて大きくため息を吐かれてしまった。何かあったのかと聞けば、問題ないと返されてほっと胸を撫で下ろす。
    『てめえ、酒は』
    「飲むが……今言うことか?」
    『言うことだろ。一人で祝杯上げさせるつもりかよ』
    言われた台詞をじわじわ理解する。思わず声を上げそうになって、その前に静かにしてろと注意されて何だか笑い出したい気分だった。
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    すすき

    REHABILI【ブラカイ/🍦🌸】
    この前なこさんとお話してた時に出た、「飲酒運転になるからお持ち帰りして❤️」ってボスに言うカインの話
    でも全然違うやつになった無念
    さすがにそろそろ、とカインが思ったとしても、たぶんバチは当たらないだろう。もうすぐ二か月が過ぎようとしていた。いつから数えて、というと——ブラッドリーとの関係に、恋人という文字が足されてから。
    気持ちを伝えあって、間違いなく恋人同士になった。ブラッドリーの気持ちを疑ったことも、カインが心変わりをしたこともない。ないのだが、今になってもカインはブラッドリーの自宅にさえ足を踏み入れたことがなかった。恋人になる前と同じ上司と部下だと言われてもおかしくないような距離感で、同じような話をする。指先に触れることさえもしていない。
    一向に関係性が変わらない原因は、ここ二か月の間、お互いのオフが被った日が片手で足りる程しかなかったことだと分かっている。上司と部下としてならそれなりに時を過ごしてはいるが、恋人としてはまだまだ新人だ。急ぐ必要なんてなくて、ゆっくり、時間をかけて変わっていけばいい。きっとブラッドリーはそう考えていて、それがたまらなくうれしかった。長く続く時間を少し使うだけだと、そんな事を言われているようで。
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    すすき

    DOODLE【ブラカイ/パラロ】
    ボスにキスしたいなって思うカインと、カインをかわいがりたいボスの話。
    誕生日ボイスがめちゃくちゃなブラカイで強すぎてしんで、何かもういちゃいちゃしてくれないと割に合わないなって思って書いました。
    いつものいちゃいちゃです
    あ、キスしたいなとふと思った。
    カインにとっては唐突なことではなかったが、うまそうにグラスを傾けるのを邪魔するのは少し気が引けた。今日はとっておきだと言っていたから。でもちょっとだけ、頬や額にならと考えて、それだと満足できないだろうなという結論に至って小さくため息を吐く。ほんの些細な吐息に気づいて、どうしたと聞いてくる視線に、やっぱり好きだなと思う。
    「なあ、ボス。……キスしていいか?」
    結局黙ったままではいられなくて、手元のグラスを置いた。ブラッドリーが楽しそうに喉を鳴らす。
    「さっきから考えてたのはそれか?」
    気づいてたのかとも言えずに頷くしかない。自分でもちょっと挙動不審だったかもと思う。
    テーブルの上のボトルはまだ残りがある。ブラッドリーがカインも好きだろうと選んでくれた酒なのは知っている。いつも飲んでる安いエールみたいに一気飲みして楽しむようなものじゃないのも分かってる。グラスに口をつけたままじゃキスはできないけれど、二人きりでゆっくり酒を飲んで話す時間も大切だ。
    1972

    recommended works

    すすき

    DOODLEhttps://www.pixiv.net/artworks/80333482#manga
    ↑こちらの設定をお借りして書いたブラカイ
    設定の説明はあんまりちゃんとしてないので、こちら見てからの方が分かりやすいと思います
    パラロ設定。カイン無自覚
    えろではないです

    こんなに長くなる予定はなかったし、予定外の長さの割には設定を全然活かせてないの最悪
    制服を脱いだ肌に刻まれたシンボルを眺めてカインはため息を吐いた。署の古びたロッカールームの蛍光灯に照らされたそれは、随分と赤く染まっている。
    自覚はあった。いくら何でもミスが多すぎたし、話が一度で聞き取れないことも増えた。体は休息を必要としているのにぐっすり眠ることが出来ず、そのせいで増々集中力が消えていく。取り返しのつかない失敗をしなかったことだけが不幸中の幸いと言ったところだろうか。いざという時の為に、と病院で処方してもらった薬があって助かった。
    だけど、それももう限界だ。ここまで赤くなってたらな、と再びため息を吐く。
    ――この世には、シンボルと呼ばれる紋章が体に刻まれる人間がいる。
    思春期を過ぎたころに現れるそれを体に宿した者は、印が赤くなりきる前に性行為をしなければ死に至る。これは病気ではなく、アレルギーと同じ体質的なものだ。だから多少の緩和措置はあっても治療法はない。薬を飲んだところで、セックスをしなければ根本的な解決にはならなかった。
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